「セキュリティは負け戦」なのか? リソース不足でも簡単にできる2つの対策CIO Dive

AWSの調査によると、中小企業はセキュリティ対策に十分な予算やリソースを避けていない。これにはセキュリティに対する中小企業の“誤解”が関係している可能性がある。

» 2023年12月22日 07時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 中小企業はクラウドの導入によって、効率化や顧客体験の向上、テレワーク機能の改善などを求めている(注1)。しかし、Amazon Web Services(AWS)が経営幹部800人を対象に実施した調査によると、多くの中小企業はサイバーリスクに適切に対処できていないという(注2)。

 中小企業の3分の1以上がセキュリティにおいて優先順位を付けておらず、5社中2社が「組織内でセキュリティに関する研修を実施していない」ことが報告書で明らかになった。また回答者の5人中2人が、「サイバーセキュリティを強化するための十分な技術的専門知識がない」と考えている。

中小企業にとってセキュリティとは「負け戦」なのか?

 中小企業は、大企業の成長とイノベーションをけん引するテクノロジーへのアクセスを求めて投資している。コンサルティング会社のAnalysys Masonによると、SMBセグメントのIT支出は2023年に前年比5.4%増、2027年には前年比8.3%増に達すると予想されている(注3)。

 「しかしCISO(最高情報セキュリティ責任者)を雇ったり、クラウドセキュリティチームを立ち上げたりすることは、小規模な組織にとっては必ずしも現実的ではない」と、AWSのビジネスイノベーション責任者であるベン・シュライナー氏は「CIO Dive」に語った。

 「私が話をする経営者は、セキュリティに関しては人手不足であることが分かっている。彼らは負け戦だと知って戦っているのだ」

 給与計算・財務ソフトウェア会社のSageによると、Danebury Researchが実施した2100人のSMBの意思決定者を対象とした調査で、SMBの半数近くが過去1年間に何らかのインシデントを経験していることが分かった(注4)。

 シュライナー氏は「多くの企業は、クラウド事業者を含むサードパーティーベンダーにサイバー支援を求めているが、その多くは侵害が発生した後のことである」と指摘する。

中小企業はセキュリティに対して“誤解”している

 幾つかの誤解が、中小企業をサイバーリスクにさらす可能性がある。

 AWSの調査によると、中小企業は一般的に「クラウドセキュリティはコストがかかり過ぎ、大規模なサイバー専門家チームが必要だ」と考えている。また回答者の半数は「移行されたデータはオンプレミスよりも本質的に安全性が低いと考えている」ようだ。

 「移行後のデータはより脆弱(ぜいじゃく)であるという考え方が、クラウド展開のセキュリティ確保に膨大なリソースを割かなければならないという俗説を助長している」とシュライナー氏は指摘する。

 ハイパースケーラーは顧客の負担を軽減し、自社の評判を守るために自社のプラットフォームにセキュリティ機能を組み込んでいる。クラウドが成熟するにつれて、こうした組み込みのセキュリティツールは導入しやすくなる。

 「多くの場合、チェックボックスにチェックを入れるだけでいいのだ」とシュライナー氏は言う。

 同氏はまた、オンプレミスのITスキルの80%はクラウドに移行可能だと推定している。

 「ネットワークやデータベース、アプリケーションなど多くのスキルは同じようなものであり、ゼロから始めるわけではない」(シュライナー氏)

 しかし、セキュリティ機能は有効になって初めて効果を発揮する。組織の規模にかかわらず、セキュリティシステムを有効にし、アプリケーションを更新し、基本的なガバナンスを維持しなければならない。

 シュライナー氏は以下の2つの簡単な改善策を提示した。

 「もし私が“魔法のつえ”を振れるとしたら、全員が二要素認証を使い、誰も自分のルートアカウントを使わないようにすることだ」

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