"ERPのプロ"なら持ってて当然? 企業が求める10のスキル

ERPの導入と運用管理を担う人材は多くの企業が必要としている。本稿ではERPのプロに求められる10のスキルを解説する。

» 2024年02月21日 08時00分 公開
[Alexander S. GillisTechTarget]

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 どのようなソフトウェアでも、それを管理する人材が必要だ。ERPも例外ではない。ERPは財務やHR、サプライチェーン、在庫管理などのシステムを統合でき、企業の規模にかかわらず広く使われている。

 ERPは複雑で、他システムとの連携も必要とするため、自社ERPを展開する企業はERPのプロフェッショナルを雇用する必要がある。専門人材が担う役割としては以下のようなものがある。

  • プロジェクトの順調な進行
  • ERPの実装およびアップデート
  • 変更管理の推進
  • 予算見積もりの支援
  • ユーザーに対する研修
  • ユーザー体験の形成支援

 ERPプロフェッショナルとして成功するには、ERPの運用と管理に必要なハードスキルとソフトスキルの両方を備えていなければならない。履歴書の作成や人事担当者との面接のときには、求められている特性とスキルを把握することが重要だ。

ERPのプロとして求められる10のスキル

 以下の10個のスキルはERPの実装と管理を目指す人にとって必要不可欠なものだ。

1. 直感

 直感は訓練や教育では身につけられない特性だ。生来のものだったり、培うのに長期的なプロジェクト管理の経験が必要だったりする。ERPプロジェクトの管理者は、プロジェクトの進捗具合を感じ取る能力を備え、問題を検知できるような本能を持っているべきだ。

2.プロジェクト管理

 多くの雇用主は、プロジェクトを担当した経験がある人を求めており、ERP実装の全サイクルを扱った経験がある志望者を探している。ERPのプロフェッショナルなら、プロジェクトの計画立案や実行などのスキルを身につけており、複数のプロジェクトやスケジュール、予算を管理するスキルも備えているはずだ。

3.問題解決

 雇用主は、ERPが順調に導入され、発生する問題をERPのプロフェッショナルが解決できるようにしたいと思っている。ERPのプロフェッショナルなら、どのような技術的問題が生じても、その問題の特定や分析、トラブルシューティング、解決ができるべきだ。雇用主は、そうした問題解決スキルを発揮した経験も知りたがるかもしれない。

4.臨機応変

 ERPのプロフェッショナルなら、改善可能なERPのプロセスや設定を指摘できなくてはならない。投資対効果や生産性の最大化にもつながるERPの修正およびアップデートに向けた戦略を立てるには柔軟さが必要とされる。雇用主は手元にあるリソースで会社の問題を解決できる臨機応変な志望者を求めている。

5.最新技術の把握

 ERPのプロフェッショナルなら、ERPに関するハードウェアやソフトウェアを実装・管理するのに適切な技術について知識や経験があるはずだ。ERPのスキルは直接的な経験や研修、認定プログラムによって身に付けられる。ERPのプロフェッショナルが備えておくべき技術や技術的スキル、経験には、以下のようなものがある。

  • AI(人工知能)
  • ビッグデータ
  • カスタムレポートの作成
  • データ管理
  • データ統合
  • データ移行
  • データモデリング
  • 予測分析
  • SQLやXMLなどのプログラミング言語
  • ロボティックプロセスオートメーション(RPA)

 ERPのプロフェッショナルは、MicrosoftやSAP、Oracleといったベンダーのものなど、ERPのさまざまなシステムやアーキテクチャにある程度精通しているはずだ。

 ERPはベンダーによっても異なるため、スキルに精通しているほど良い。

6.効果的なコミュニケーション

 ERPの実装を主導するには優れたコミュニケーションスキルが必要だ。ERPのプロフェッショナルなら、明確かつ簡潔にチームの仲間とプロジェクトについてオープンに話し合えるべきだ。話し言葉や書き言葉で明確にコミュニケーションを取る能力は、プロジェクトの計画を成功させるのに不可欠な要素だ。

 企業も、穏便かつ合理的なやり方でチームのメンバー間の対立や意見の相違を解決できる能力を評価している。

7.メンタリング

 ERPのプロフェッショナルとして評価されるもう一つのスキルは、他の従業員にノウハウを教える能力だ。快く知識を共有する一方で同僚からも学べるERPのプロフェッショナルは、そうした個々人のスキルを強化しながら自分のチームのスキルも強化する。

 周囲をメンタリングしたりサポートしたりすれば、研修に費やす時間を節約することでプロジェクトを順調に進める手助けにもなり、企業は特定のスキルが不足しているかもしれない従業員をつなぎ止められる。

8.チーム構築

 チームをまとめる能力は、ERPプロジェクトの責任者が備えておかなければならないソフトスキルだ。ERPのプロフェッショナルはチームにフィードバックを返したり、必要に応じて指導したり、新たなことを試す機会を提供する一方で、相手が何を期待しているかも把握できるべきだ。

 チームは、一丸となって協力や知識の共有、潜在的な技術的問題の解決ができるべきだ。チームのメンバー間のいさかいや緊張を防ぐために、対立を解消するスキルを伸ばすことも、ERPのプロフェッショナルにとって大切だ。

9.柔軟性

 ERPシステムは、柔軟性とスケーラビリティを念頭に置いて設計されており、組織の変化するニーズに合わせて時間をかけてカスタマイズできるようになっている。同様に、ERPのプロフェッショナルなら新たな変化や予想外の状況に対して柔軟に対応可能であるべきだ。

 ERPの実装プロセスは一般に複雑で、途中で問題が生じる可能性がある。ERPのプロフェッショナルは、平静を保ってプロジェクトを通して柔軟でいられることが肝要だ。そして、意見に常に耳を傾ける一方で、必要に応じてプロジェクトの計画を変更する必要もあるだろう。

10.体系化

 ERPプロジェクトには、進行に関わる人や計画の体系化など、ある程度の体系化が必要な部分が数多くある。

 体系化が必要なERPプロジェクトの各側面には、以下が含まれる。

  • 契約
  • 文書化
  • 電子メール
  • 従業員のタスク一覧
  • メモ
  • プロジェクトの要件と仕様
  • レポート
  • レビュー
  • リスク

 企業はERPのプロフェッショナルの体系化能力からメリットを得られるだろう。正確に時間管理ができないと体系化を維持するのが困難なため、時間管理も必須のERPスキルだ。

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