ゼネコン準大手の熊谷組がパロアルトネットワークスのSASEソリューションを導入セキュリティソリューション

熊谷組は従来の境界防御型セキュリティからSASEソリューションPrisma Accessを導入することで、通信品質の改善とセキュリティ対策の両立を実現した。

» 2024年02月22日 08時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 パロアルトネットワークスは2024年2月20日、ゼネコン大手の熊谷組がパロアルトネットワークスのクラウド提供型ネットワークソリューション「Prisma Access」を導入したと発表した。

熊谷組はSASEソリューションをいかにして導入したか?

 パロアルトネットワークスによると、熊谷組はPrisma Accessの導入によって従来の境界防御型セキュリティからSASE(Secure Access Service Edge)によるゼロトラストセキュリティを実現し、通信品質の改善とセキュリティ対策の両立を達成したという。

 熊谷組はビジネス規模の拡大に伴い、クラウドサービスの利用が急増し、トラフィックが増大したことで通信不良が発生し、ネットワークの見直しが課題となっていた。セキュリティについても従来のネットワークではファイアウォールとプロキシサーバによる境界防御型で対応していたため、高度化・巧妙化する脅威に対する懸念が高まっていた。

 熊谷組はこれらの課題を解決するためにネットワークとセキュリティの構成を刷新することを決定した。セキュリティについては従来の境界防御型からゼロトラストセキュリティの考え方に基づくSASEソリューションへの切り替えを前提に、2021年10月には複数のゼロトラストおよびSASEソリューションを比較検討を開始し、2022年4月にはセキュリティ運用管理における負荷の軽減と容易なゼロトラスト環境の構築が期待できることを評価してPrisma Accessを選定した。

 熊谷組はPrisma Accessの導入を決定してからネットワークとセキュリティの刷新に向けた要件定義を改めて実施し、約5カ月でPrisma Accessの設定や開発を実施した。2022年の9〜10月には本社各部門の数台のPCにPrisma Accessをインストールして社内システムやWebサイトのアクセス可否を確認し、2022年11月から全国の拠点に展開し、2023年2月から全社での運用を開始した。

 Prisma Accessの運用開始から約1年が経過した熊谷組は課題解決の効果を実感しているとし、同社の眞鍋準次氏(経営戦略室 DX推進部 ITソリューショングループ 係長)は「ネットワークについては、従来の帯域保証型300Mbpsの専用線からベストエフォート型1Gbpsの回線に切り替えたことで、本社で発生していた輻輳(ふくそう)や遅延を回避するとともに、コスト削減にもつながった」とコメントした。

 「VPNの課題については、VPNクライアントを従来のソフトウェアからPrisma Accessに切り替えたことで通信速度が30Mbpsから150Mbpsへと約5倍も高速化した。FQDNの例外設定が可能になり、ボトルネックだったプロキシサーバも不要になるなどセキュリティ運用の課題も解決できた。Prisma Accessに搭載されている多様なセキュリティ機能が利用可能になったことで、高度なセキュリティリスクに対処できたことが最大の導入効果だと感じている」(眞鍋氏)

 熊谷組は今後、現場事務所へのPrisma Access適用を予定している。同社の建築現場や土木現場は常時約300カ所になるため、セキュリティ強化において大きな効果を見込んでいる。

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