生成AIをよりセキュアな環境で ニーズに応えてAmazonがセキュリティを最重要課題に設定CIO Dive

AmazonやMicrosoftをはじめとしたハイパースケーラーたちがセキュリティ強化に注力している。生成AIを動かすクラウドに求められているのは、利便性や効率よりも安全性と信頼性なのかもしれない。

» 2024年06月10日 07時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 Amazonのアンディ・ジャシー氏(社長兼CEO)は、2024年4月30日(現地時間)に開催された2024年第1四半期決算説明会で「Amazon Web Services」(AWS)のクラウドインフラのセキュリティ耐性の高さを強調した(注1)。

どのクラウドで生成AIを動かすか? 鍵を握るセキュリティを各社が強化

 ジャシー氏は企業に対してクラウドベースの生成AIサービスのセキュリティと運用パフォーマンスを見落とさないようにと呼びかけている。

 「それはあまり目立たないが非常に重要なものだ。ほとんどの企業はAIアプリケーションのデータプライバシーと、トレーニングアプリやプロダクションアプリの信頼性に強い関心を持っている」(ジャシー氏)

 ジャシー氏はまた、2024年4月30日に発表された生成AIアシスタント「Amazon Q」の一般提供開始を大々的に宣伝し、AIが同社のクラウド事業を後押ししていると評価した(注2)。同氏は、前年同期比の収益成長率が2023年第4四半期の13.2%から17.2%に上昇したことに触れながら「AIの分野ですでに数十億ドルの収益を上げる勢いを見込んでいる」と話した。

 2023年は経済が縮小する中でもクラウドの導入が拡大したため、企業は潜在的なサイバーリスクよりもコスト管理を心配していた(注3)。しかしデータを大量に消費する生成AIツールは、特にこの技術を利用したクラウドベースのアプリケーションにおけるセキュリティへの懸念を再燃させている(注4)。

 ジャシー氏のコメントは、クラウド分野でAWSの主な競合企業であるMicrosoftが「Microsoft Exchange Online」への攻撃を含む国家関連の一連のセキュリティインシデントの影響を受けている時に発表された(注5)(注6)(注7)。

 Microsoftのサティア・ナデラ氏(CEO)は2024年4月第4週の決算説明会で、セキュリティが同社の最優先事項であることを強調した(注8)。同氏は、2023年秋に開始したサイバーセキュリティ保護を推進する全社的な取り組みである「Secure Future Initiative」について触れながら「他のあらゆる機能や投資よりもセキュリティを最優先にしており、この極めて重要な作業に注力している」と話した。

 企業がクラウドへの移行を急ぐ中、AWSもまたクラウドの普及を促進するためにセキュリティに力を注いでいると、ジャシー氏は2024年4月30日に語った。

 「コスト最適化はほとんど後回しにしている。AWSで生成AIを実行する方法を模索する人々に非常に大きな勢いを感じている」(ジャシー氏)

 AIの導入が進むにつれて、Amazonは企業のリーダーにデータの安全性についても考慮するよう促している。

 「これらの生成AIアプリケーションには最も機密性の高い情報資産やデータが含まれており、そのアプリケーションのセキュリティが非常に重要だ。そして、ここ1〜2年で起こっていることを考えると、全てのプロバイダーが同じレベルの実績を持っているわけではない」(ジャシー氏)

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