Azure AIが業界特化型SLMモデルを拡充 設計・製造や金融、農業など技術トレンド

Microsoftは業界別の小規模言語モデル(SLM)の提供を発表した。バイエルやシーメンスなどの企業が協力し、各業界固有のデータで事前学習させたさまざまなモデルを提供する。

» 2024年11月18日 07時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Microsoftは2024年11月13日(現地時間)、BayerやRockwell Automation、Siemensなどのパートナー企業と協力し、業界特化型の小規模言語モデル(SLM)を提供すると発表した。

Microsoft introduces new adapted AI models for industry - The Official Microsoft Blog(出典:MicrosoftのWebサイト)

Microsoftがパートナー企業開発の小規模言語モデル(SLM)を提供

 Microsoftは農業や車載向け、製造業向け、金融業向け、CAD/CAM向けなど、分野に特化した小規模言語モデル(SLM)を「Azure AIモデルカタログ」を通じて提供する。

 Bayerからは農業の持続可能な利用を目指した「ELY Crop Protection」、Rockwell Automationからは資産管理や製造プロセス、トラブルシューティングなどに焦点を当てた「FT Optix Food & Beverage」、SiemensからCAD/CAMソフト向けの「NX X Copilot」などが提供される。

 提供中または提供予定の注目のモデルは次の通りだ。

・Bayer: Bayerの「農業インテリジェンス」に基づいて構築されたモデル。農業分野における作物保護の持続可能な使用や適用、コンプライアンス、知識の向上を目的とした専門的なモデルELY Crop Protectionを提供する

・Cerence: 車両との対話に特化した車載専用モデル「CaLLM Edge」を提供する。空調システムの調整などの車内制御や、クラウド接続が制限されている、または接続されていないシナリオに使用することができる

・Rockwell Automation: 資産管理や生産プロセス、トラブルシューティングなどに焦点を当てたモデル「FT Optix Food&Beverage」を提供する。工場の現場作業員とエンジニアに、特定の生産プロセス、機械、入力に関するタイムリーな推奨事項、説明、知識を提供する

・Saifr: 金融機関がブローカーやディーラーのコミュニケーションや、投資顧問会社における広告のコンプライアンスをより適切に管理できるようにする4つのモデルを提供する。「画像認識」「言語提案」「リスク解釈」「小売マーケティングコンプライアンス」で構成され、組み合わせることでコンプライアンスを強化する

・Siemens Digital Industries Software: CAD/CAMを統合した「Siemens NX」向けにNX X Copilotを提供する。自然言語による質問を理解し、詳細な技術的洞察および複雑な設計タスクを合理化した迅速かつスマートな製品開発を可能にする

・Sight Machine: 古いデータフォーマットから新しいフォーマットへの変換を支援するモデル「Factory Namespace Manager」を提供する。レガシーな命名規則を理解し、新しい命名規則にマッピングする処理を支援する

 MicrosoftはこれらAIツールの提供および実装に加え、各業界の活動の中核にAIを組み込み、顧客の成功を支援することを目標に掲げている。今後もAIが形作る新しいビジネスの最前線に立ち続けるだろうとも述べ、AIによる変革を先導していく姿勢を見せている。

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