世界4大コンサルが生成AI投資を拡大 各社動向をまとめてチェックCIO Dive

KPMGをはじめとする世界4大コンサルティング会社がクラウド大手とのパートナーシップを強化し、生成AIへの投資額を急増させている。コンサル各社は生成AIを使って具体的に何をしようとしているのか。

» 2025年01月08日 12時57分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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 2025年は多くの企業で生成AIのビジネスでの利用が本格化すると見られている。他業界に先駆けて活用を進めてきたコンサルティング会社は現在、生成AIをビジネスにどう使っているのか。あるいは生成AIを使ったビジネスをどう展開しようとしているのか。

KPMGは過去2年で10倍に 生成AIをどう使って何をしている?

 KPMG International(以下、KPMG)が、Google Cloudとのパートナーシップを拡大し、新しいツールと強化されたサービスを通じて生成AIの提供を強化すると、2024年11月20日(現地時間、以下同)に発表した(注1)。

 発表内容は、KPMGが「Google Cloud」に関する分野に1億ドルを投資するというものだ。プレスリリースによると、KPMGのGoogle Cloud分野の契約金額は過去2年間で10倍に増加している。

 同社はGoogle Cloudとの提携強化によって、一体何をしようとしているのか。

 両社は、機械学習(ML)プラットフォームの「Vertex AI」や生成AIの「Gemini」、データウェアハウスの「BigQuery」、APIを活用した小売やヘルスケア、金融サービス向けの新たなソリューションに共同で取り組むとしている。

 Google Cloudのマット・レンナー氏(グローバル収益部門プレジデント)は、「KPMGとのパートナーシップの次の段階では、KPMGは生成AIの可能性を最大限に引き出すために必要なソリューションや専門知識、技術リソースを顧客に提供し、生成AI導入を迅速化するために支援する」と述べた(注2)。

 コンサルティングファーム各社は、生成AIをいち早く導入した。ハイパースケーラーと提携し、サービスやソリューションの立ち上げに多額を投資してきた。

 KPMGは2024年初頭に既にGoogle Cloudとの提携を拡大している。AIアシスタントのGeminiを取り入れて顧客の生成AI導入を進める計画だ。

 2024年4月に発表された両社の契約強化の一環として、Google CloudはKPMGの従業員をスキルアップさせて目標達成を支援することに合意している。KPMGは製品開発と技術リソースを調整するためにGoogle CloudのCoE(Center of Excellence)を設立した。

 KPMGのスティーブ・チェイス氏(AIおよびデジタルイノベーション組織副会長)は2024年11月20日に発表した声明で、「当社の業界やデータ、AIに関する深い専門知識とGoogle Cloudの最先端のAI技術の統合は顧客の市場優位性を高める強力な組み合わせだ。今回の提携拡大により、顧客にもたらされる利益はさらに大きくなるだろう」と述べた。

 KPMGは2024年6月にMicrosoftとも提携した。OpenAIが開発したAIモデルを「Microsoft Azure」で利用できる「Azure OpenAI Service」や「Azure AI Search」で構築した独自の生成AIツールに機能を追加し、2024年中に「Microsoft 365 Copilot」をパートナーと従業員に展開する予定だ(注3)。同社は現在、エージェントAIの実験も進めている(注4)。

PwC、Accentureの動向は?

 PricewaterhouseCoopers(以下、PwC)やDeloitte Touche Tohmatsu、Ernst & Young GlobalもAIサービスを提供するクラウド大手とのパートナーシップを強化している(注5)(注6)。

 PwCは2024年11月21日に初の「Google Cloud AI Experience Zone」を開設した。同会場は、Google Cloudの技術を顧客が実際に体験できる場だ(注7)。PwCは企業の税務に関するソリューションを含む複数のカスタマイズされた生成AIツールをGoogle Cloudと共同開発している。さらにOpenAIやMicrosoftとの連携を通じて、AI活用で達成すべき目標の実現に近づいたとしている(注8)(注9)(注10)。

 こうしたAI活用戦略により、4大コンサルのビジネス面での見通しは改善している。Accentureは、2024年6月に発表した2024年第3四半期報告書では年間20億ドルのAI関連投資を既に計上している(注11)。

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