産業技術総合研究所がAIクラウド計算システム「ABCI 3.0」の一般提供を開始した。生成AIを含む最先端AI技術の研究開発の支援を目的としている。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
産業技術総合研究所(以下、産総研)は2025年1月20日、大規模AIクラウド計算システム「ABCI 3.0」の一般提供をはじめた。ABCI 3.0は従来システム「AI橋渡しクラウド2.0(ABCI 2.0)」と比較して7〜13倍の性能向上を実現し、生成AIをはじめとしたAIの研究開発や評価、人材育成の支援を目的としている。
ABCI 2.0は産総研が開発したAIの研究開発を支援する計算システムで、2021年5月に運用を開始し、2024年4月からは産総研の成果活用等支援法人であるAIST Solutions(以下「AISol」)がその運用を引き継いでいる。国内機関によるABCI 2.0の活用で大規模言語モデルの構築などの成果が上がっている一方、生成AIの開発需要の急拡大に伴い、リソース不足や利用待機時間の長さといった課題が生じていた。また生成AIを産業に応用するためには、大量の実世界データを活用した基盤モデルの開発が不可欠な状態となっていた。そのような背景からABCI 2.0の後継システムであるABCI 3.0が開発され、一般提供が開始されている。
ABCI 3.0は生成AIをはじめとする最先端AI技術の研究開発や社会実装の基盤となるシステムとされ、高性能かつ省電力の最新GPU「NVIDIA H200 SXM5」を6128基搭載し、オールフラッシュストレージシステムによる大容量かつ高速なデータ処理能力を備える。ピーク性能は半精度(16bit浮動小数点)で6.2エクサフロップス、単精度(32bit浮動小数点)で3.0エクサフロップス、倍精度(64bit浮動小数点)で415ペタフロップスとなり、従来の約7〜13倍に向上している。
ストレージ容量や理論読み書き性能も従来の2倍以上の75ペタバイトに拡張され、大規模なデータ処理の効率化とデータセンター空間の有効活用が期待されている。
提供価格は市場水準に準じた設定としつつ、「標準利用」と研究開発を支援するための「開発加速利用」の2クラス制が導入される。ただし2025年3月までは全ての利用者が「開発加速利用」を利用可能で、2025年4月以降、2クラス料金制へと移行する。詳細についてはABCIの公式Webサイトで確認できる(参考「ABCI:https://abci.ai/ja/」)。
SHIFT、生成AIの定着支援サービス RAGの精度向上に向けデータ整備や業務プロセス標準化
note、20時間かかる個人情報マスキング作業を数分に圧縮 生成AI活用の補助に
電通デジタルが「データ人材育成プログラム」の提供を開始 データ専門家と現場をつなぐスキルを伝授
noteとGoogleが資本業務提携 生成AIの強力な味方を得るCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.