OracleとGoogle Cloud、マルチクラウド戦略で連携強化 日本リージョンも近々

OracleはGoogle Cloudとの協業を強化し、「Oracle Database@Google Cloud」の新機能と新リージョンを発表した。今後は多様なリージョンへの展開とサービス拡充により、マルチクラウド戦略の柔軟性をさらに高める。

» 2025年04月21日 10時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Oracleは2025年4月9日(現地時間)、Google Cloudとの提携したパートナープログラムを発表し「Oracle Database@Google Cloud」の新機能および新リージョンの拡張計画を明らかにした。両社のパートナーが同サービスを顧客に提供できるようになり、性能強化や対応地域の拡充で、マルチクラウド環境での利便性と柔軟性が一段と高まる。

OracleとGoogle Cloud、共同で次世代クラウド戦略を推進

 新たに発表したパートナープログラムでは、OracleとGoogle Cloudの両方のパートナーが「Google Cloud Marketplace」上で「Oracle Database@Google Cloud」を購入し再販できる仕組みを整備した。対象となるのは「Google Cloud Partner Advantageプログラム」および「Oracle PartnerNetwork」(OPN)の加盟パートナーであり、今後12カ月以内にスタートする。取引はGoogle Cloud Marketplaceを通じて行われ、Google Cloudクレジットのみが使用できる。

 テクノロジーパートナーは自身のソリューションやサービスに「Oracle Database@Google Cloud」を組み込めるようになる見通しだ。既存のクラウドサービスを信頼できるパートナーから購入している企業にとって、新たなマルチクラウド戦略の導入がより現実的な選択肢となる。

 OracleとGoogle Cloudは、同サービスの顧客ニーズの拡大に対応するため、機能強化とリージョンの追加を計画している。

Oracle Exadata X11Mのサポート

 「Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure」において、最新の「Oracle Exadata X11M」のサポートを追加する。AIや分析処理、オンライン・トランザクション処理(OLTP)におけるパフォーマンス向上が可能となる。さらにオンプレミス、ハイブリッドクラウド、パブリッククラウド、マルチクラウドといった多様な環境で同アーキテクチャを柔軟に展開できるようになる。

米国政府クラウド向けOracle Interconnectの提供

 米国政府の顧客向けに「Oracle Interconnect for Google Cloud」の提供を開始する。Oracle U.S. Government Cloud East(バージニア州アッシュバーン)とGoogle Cloud for U.S. Government Virginiaとの間で、高帯域かつスケーラブルな接続を数分で構築できる。加えてGoogle Cloud上に展開した政府系アプリケーションを、「Oracle Autonomous Database」や「Oracle Exadata Database Service」と連携させることが可能になる。

Oracle Base Database Serviceの限定プレビュー

 「Oracle Database Enterprise Edition」および「Standard Edition 2」の「Oracle Database 19c」および「23ai」を仮想マシン上で実行するサービスとして、「Oracle Base Database Service」のプレビューを近日中に提供開始する。自動化したライフサイクル管理、ローコードアプリケーション開発機能、独立してスケーリング可能なコンピュートおよびストレージリソースを提供し、従量課金によってワークロード変動に柔軟に対応できる。

新たなリージョン展開計画

 「Oracle Database@Google Cloud」のリージョンは今後12カ月以内に次の地域で展開予定だ。

  • アジア太平洋地域: 東京(Asia-Northeast 1)、大阪(Asia-Northeast 2)、ムンバイ(Asia-South 1)、デリー(Asia-South 2)
  • オーストラリア: シドニー(Australia-Southeast1)、メルボルン(Australia-Southeast2)
  • ヨーロッパ: トリノ(Europe-West12)
  • 北米: モントリオール(North America-Northeast 1)、トロント(North America-Northeast 2)、アイオワ(U.S. Central 1)
  • 南米: サンパウロ(South America-East 1)

 さらにロンドン、フランクフルト、アッシュバーンではデータセンターの容量を2倍に拡張する計画もある。これらはすでに提供中の米国東部(アッシュバーン)、米国西部(ソルトレイクシティ)、英国南部(ロンドン)、ドイツ中部(フランクフルト)のGoogle Cloudリージョンに加わる形となる。

 今回の発表でOracleとGoogle Cloudはマルチクラウド戦略における協業をさらに深化させた。エンタープライズ顧客の多様なニーズに対応する体制を整え、より柔軟で継続的なサービスを提供する。

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