Oracleの巨額投資は実を結ぶか? クラウドサービスの対象地域を100以上に拡大CIO Dive

Oracleは1年前、クラウドビジネスを同社の主要な収益源とするため、クラウドをサポートするインフラに100億ドルを投資することを発表した。先行するハイパースケーラーに対し、どのようにして市場で存在感を高めるのか。

» 2025年04月23日 07時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

CIO Dive

 Oracleのサフラ・カッツ氏(CEO)は、2025年3月10日(現地時間、以下同)に開催された2025年の第3四半期の決算説明会で次のように述べた(注1)。

 「当社のグローバル・クラウドエステート(クラウドリソースやデータセンターなど)が101地域にまで拡大し、間もなく全ての競合他社を合わせた数を超えるだろう。インフラストラクチャとソフトウェアサービスに関連する四半期の売上高が前年比23%増の62億ドルに達した」

 Oracleは積極的な投資を続けるが、市場においては3%のシェアを有するのみだ。先行するハイパースケーラーに対し、どのようにして市場で存在感を高めようとしているのか。

Oracleのクラウドビジネス拡大戦略

 Oracleは1年前に積極的な事業拡大に乗り出し、クラウドビジネスを同社の主要な収益源とするため、クラウドをサポートするインフラに100億ドルを投資することを発表した(注2)。2024年の第3四半期には68のクラウド対象地域が稼働し、51億ドルの売上を計上した。

 インフラへの大規模な設備投資にもかかわらず、クラウド市場におけるOracleのシェアは、3大ハイパースケールプロバイダーに比べて小さい。調査企業であるSynergy Research Group(SRG)によると、3300億ドルという2024年の巨大な市場において、Oracleは3%のシェアを有するのみだ。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Google Cloudの3社は全世界のクラウド売上高の3分の2を占めている(注3)。

 2024年に四半期ごとの成長率が20%を超えたクラウド市場には、まだ多くの収益の機会がある。しかし、市場シェアの拡大は非常に困難だ。

 SRGのジョン・ディンズデール氏(チーフアナリスト)は、電子メールで次のように述べた。

 「AWSおよびMicrosoft、Google Cloudと本気で競争するためには、データセンターなどのインフラの拡張および向上に何十億ドルを継続的に投資しなければならない。Oracleは同規模の投資をしていなかったため本格的に競争できず、今から追い付こうとしている」

 AWSは2024年の最後の3カ月間だけで設備に関して263億ドルの支出を報告しており(注4)、Oracleの1年間のコミットメントを四半期で2倍以上上回っている。

 Microsoftは、2025年6月30日に終了する現在の会計年度において、急増するAIコンピューティングの需要に応えるためにデータセンターに800億ドルを投資する計画を発表している(注5)。Googleもそれにほぼ匹敵する金額で、2025年にAIとクラウドの容量を拡大するために750億ドルを投じることを約束した(注6)。

 AIの使用によってクラウドリソースが枯渇し、ハイパースケーラーは容量の制約に悩まされていた。Oracleもその影響を受けたが、2025年の後半にはいくらか緩和されると予想されている。

 「AIコンピューティングの需要が供給を大幅に上回り続けているため、2025年には能力を倍増させることを目指している。2025年にクラウドの容量拡張が遅れる原因となったコンポーネントの遅延は、2026年の第1四半期には緩和されるはずだ」(カッツ氏)

 拡大戦略の一環として、Oracleは過去2年間にAWSおよびMicrosoft、Google Cloudとのパートナーシップを通じて、自社のクラウドデータベースビジネスをハイパースケーラーである競合他社に結び付けてきた(注7)。2025年1月には、「Oracle Database@Google Cloud」の契約に8つのリージョンとリージョンをまたぐ障害復旧サービスを追加した(注8)。

 Oracleのマルチクラウドデータベースは現在18の地域で展開されており、さらに40地域で構築が進んでいる。Oracleのラリー・エリソン氏(会長兼最高技術責任者)は「このアライアンスによって生み出されたビジネスは、本四半期中に200%の成長を記録した」と述べた。

 2025年1月に発表された「Stargate」と呼ばれる5000億ドル規模のインフラ建設計画からの収益はまだないものの(注9)、エリソン氏は「このプロジェクトに関連する最初の大型契約が近いうちに形になるはずだ」と述べている。

© Industry Dive. All rights reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR