国産のERPパッケージを導入し、7年にわたって運用してきた原田伸銅所がクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」を導入した。その理由は。
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SAPジャパン(以下、SAP)は2025年4月24日、原田伸銅所がクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」を中核とする「GROW with SAP」を採用したと発表した。2024年11月から開始されている。
原田伸銅所は、エレクトロニクス分野に欠かせない「りん青銅」の専業メーカーであり、現在では売上高の約3割をアジアを中心とした海外市場が占めている。今後はその比率をさらに高める方針を掲げている。
同社では2016年に国産のERPパッケージを導入し、7年にわたって運用してきた。しかし、個別最適化が進む中でシステムが複雑化し、変化する事業環境に対応しきれない状況となっていた。そのため経営基盤の刷新が求められ、SaaS型ERPであるSAP S/4HANA Cloud Public Editionの採用に至った。
新システムの導入により、統合データを基にリアルタイムで経営情報を可視化し、損益の早期把握や原価設定の精緻化、そして経営判断の高度化を目指す。採用の決め手として、基幹システムのグローバルスタンダードとしての信頼性、導入しやすいコスト、Fit to Standardによる業務の標準化への期待、信頼できるパートナーなどを挙げている。
原田伸銅所の取締役で人事総務部情報システム部の小山晋介氏は次のように述べている。
「SaaS版のSAP S/4HANA Cloud Public Editionが登場したことで、コスト的にも機能的にも当社の事業にフィットするようになり、導入のハードルは低くなった」
SAP S/4HANA Cloud Public Editionの導入ではFit to Standardによる業務標準化を重視し、それに適合しない要件についてはSAP Business Technology Platform(SAP BTP)を活用したSide-by-Side開発により対応し、システムのクリーンコアを維持していく。
原田伸銅所の情報システム部システム管理課兼システム開発課の小林邦義氏は次のように述べている。
「これまでのような属人的な業務管理、分散したデータ管理環境が改善されないまま、現場の報告だけに基づいて意思決定をしていては、ミスリードが起きかねない。Fit to Standardで業務を標準化し、一元管理されたデータをリアルタイムに取得することで、製品別・地域別の損益や原価構造などが正確に把握できるようになり、迅速な意思決定、経営判断の高度化につながっていくことが期待できる」
今後はSAP S/4HANA Cloud Public Editionの半年ごとの自動バージョンアップにより、新機能を継続的に取り入れるとともにAIの活用にも注力する方針だ。
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