AIエージェントは新たな職種を生む? Microsoftが示すAI投資の未来CIO Dive

Microsoftのレポートによると、5人に4人以上のビジネスリーダーが人材不足への対応策としてAIエージェントに期待を寄せている。企業はどのような投資をすべきだろうか。

» 2025年06月04日 07時00分 公開
[Roberto TorresCIO Dive]

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CIO Dive

 Microsoftの年次レポート「Work Trend Index」によると(注1)、AIエージェントが進化する中で、5人に4人以上のビジネスリーダーが人材不足への対応策としてこれらのツールの導入に期待を寄せているという。

 意思決定者のおよそ半数は「自社においてAIエージェントを活用し、業務フローやビジネスプロセスを完全に自動化している」と答えた。AIに投資する優先分野としては、カスタマーサービスおよびマーケティング、製品開発の3つが上位に挙げられている。

 MicrosoftはEdelman Data & Intelligenceに業務を委託し、3万1000人のナレッジワーカーを対象に調査を実施した。このレポートは2025年4月23日(現地時間、以下同)に発表された。

AI時代に必須のスキルと企業がすべき投資

 AIエージェントの導入がビジネスの下流にどのような影響を与えるかは明らかになっていない。調査対象となったリーダーの3分の1は、「この変化に対応して人員削減を検討している」と回答した。一方、4分の3以上は「AIに関連する新たな役割を担う人材の採用を拡大する」と答えた。

 この1年でAIエージェントは企業向けテクノロジーの議論の中心となり、生産性の向上や顧客体験の改善が期待されている。この技術の導入計画は、企業の人材戦略に既に変化をもたらし始めている。

 Microsoftで「AI at Work」を担当するジャレッド・スパタロ氏(最高マーケティング責任者)によると、企業が業務のあらゆる部分にAIを組み込むことで、職種全体や業界そのものが再構築されることになるという。

 スパタロ氏は2025年4月23日のブログの投稿で次のように述べた(注2)。

 「インターネット時代が到来し、ソーシャルメディアマネジャーやUXデザイナーをはじめとする何十億もの新しいナレッジワーカーを生み出したように、AI時代においても、既に新たな役割が生まれ始めており、今後さらに多くの職種が登場するだろう。今後に備えることはもはや選択の自由の範囲ではなく、必須のものとなっている。従業員はAIスキルを身に付ける必要があり、企業はそのために適切なツールやトレーニングを使って支援すべきだ」

 このレポートに加えて、Microsoftは「Microsoft 365 Copilot Wave 2」に関連する多数のアップデートを発表した(注3)。これらのアップデートは、同社が「人間とAIエージェントの協働」と呼ぶ取り組みの強化を目的としている。主な更新内容には、OpenAIの高度な推論モデルを活用した新しいエージェントである「Researcher」および「Analyst」の追加、IT部門向けのエージェントへのアクセス管理機能の強化などが含まれている。

 AIエージェントの取り組みを推進しているのはMicrosoftだけではない。ベンダー各社は、幅広い業務に自動化を組み込もうとする動きを強めており、SalesforceやGoogle(注4)(注5)、SAP(注6)、AWSなどもエージェント型プラットフォームを次々と立ち上げている(注7)。

 ベンダーの熱意とは裏腹に、ガバナンスへの懸念や現時点におけるデータ基盤の整備状況をはじめとして(注8)(注9)、AIエージェントの広範な導入には依然として多くの課題が残っている。

 それでも調査対象となった従業員の3分の2以上が、「AIは自身のキャリアを前進させる助けになる」と答えた。一方、AIエージェントに詳しいと答えた人はわずか40%にとどまった。

 「今こそ、率直な対話および意図的なコミュニケーション、リスキリングへの投資が求められている。今投資する企業は、時代に追い付くだけでなく次の時代を形作る存在となるだろう」(スパタロ氏)

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