Googleは、ゼロ知識証明技術のライブラリーをオープンソース化した。この技術は個人情報を開示せずに特定の事実のみを証明するものだ。開発者はこれを使うことで、よりプライバシーに配慮したアプリやデジタルIDソリューションを構築できる。
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Googleは2025年7月3日(現地時間)、ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof、以下ZKP)技術のライブラリーをオープンソース化したことを発表した。同社がドイツの金融機関シュパーカッセと協力し、欧州連合(EU)における年齢確認制度を支援する取り組みの一環であり、以前からの公約を実行した形となる。
ZKPは、ある特定の事実を第三者に証明するときに、他の一切の情報を提供することなく信頼性を確保できる暗号技術だ。利用者があるWebサイトにアクセスしたとき、自身が18歳以上であることのみを証明しそれ以外の個人情報を一切開示せずに確認を完了できる仕組みを実現できる。ライブラリーが公開されたことで、開発者は独自のプライバシー重視型アプリケーションやデジタルIDソリューションを構築しやすくなる。
今回のライブラリーの公開は、暗号技術やプライバシー技術のコミュニティーへの貢献と位置付けられており、個人利用者や企業、開発者、研究者など、多様な関係者に恩恵がある。Webやアプリのユーザーはよりプライベートでセキュアなデジタル環境の中でサービスを利用可能でき、大小を問わずさまざまな組織が、公開されているコードを活用して独自のプライバシー要件に対応することが見込まれる。
開発者にとっては無料かつ高性能なZKPコードベースを利用することでアプリケーション開発の自由度と効率が向上する。研究者にとっても、新たな応用や研究の出発点として期待される。
この取り組みは、2026年に施行予定のEUの電子ID規則(eIDAS Regulation)との整合性もある。同規則は、加盟国がZKPのようなプライバシー強化技術をヨーロピアン・デジタルIDウォレット(EUDI Wallet)に導入することを奨励しており、今回のオープンソース化は各国による早期導入の後押しとなる。
Googleは、この技術の公開によってZKPの可能性を広げようとしている。一般公開されているコードベースは「GitHub」で誰でもアクセス可能であり、ZKPを活用した技術開発を希望する個人や組織にとって、有益な基盤となることが期待されている。
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