DeNA、従業員のAI活用度を5段階で評価 “AIネイティブ”組織に向けて：AIニュースピックアップ

DeNAは、従業員と組織のAI活用度を5段階で評価する新指標「DARS」を2025年8月末に導入する。個人・組織別に半期ごと評価し、スキル向上とAIネイティブ組織化を推進する。

[後藤大地，有限会社オングス]

　ディー・エヌ・エー（以下、DeNA）は2025年8月6日、全社のAI活用スキルを評価する新指標「DeNA AI Readiness Score（DARS）」を2025年8月末から導入すると発表した。DARSは、従業員および組織のAI活用状況を定量的に把握する仕組みとされ、AIネイティブな組織への変革を促進させることを目的としている。

新指標「DARS」でAIネイティブ組織への変革を促進

　DARSは「個人レベル」と「組織レベル」の2つで構成され、半期ごとに評価する。評価の基準は以下の通りだ。

　個人レベルは開発者と非開発者に分類し、それぞれに応じたスキル到達度を5段階で設定する。レベル1は基礎的な知識や利用経験を示し、非開発者では社内推奨の対話型AIを試用した段階、開発者では基本的なプロンプティングでのコード生成や情報収集が可能な段階を指す。レベル3では複数のAIツールを使い分け成果に結び付けられる状態、最上位のレベル5ではAIを軸に全体設計や事業変革を実行する能力があることを示す。

DARS 個人レベル（出典：DeNAのプレスリリース）

　組織レベルではAI活用の浸透度や上位レベル到達者の割合を5段階に分類している。レベル1は組織内でのAIは試行段階であり、レベル3ではAI活用をけん引する人材の存在と活発な活動が条件となる。レベル5ではAIだからこそ可能な戦略の実行ができる段階にあり、メンバーの大半が高い個人レベルに達していることが求められている。

DARS 組織レベル（出典：DeNAのプレスリリース）

　この指標は人事評価には直結せず、個人の役割や成果の目安として活用される。半期ごとに目標を設定し、従業員のスキル向上や組織全体の活用促進につなげる。DeNAは、2025年2月開催のイベント「DeNA × AI Day || DeNA TechCon 2025」で、生産性向上、既存事業の競争力強化、新規事業創出の3本柱による「AIオールイン」方針を示しており、DARSはその具体的施策の一つとされている。

　社内では既にeラーニングや有志による勉強会を開催しており、今後はそれらの情報を集約する学習ポータルの整備も計画している。協業など特例を除く全組織が2025年度末までに組織レベル2に到達し、その先の高位レベルへの進展を視野に入れる。中長期的には、エンジニアはAIエージェント活用やLLMOps習熟、非エンジニアは定型業務のプロセス改善や高度な課題解決能力の確立を進め、AIネイティブな組織への変革を促進させる方針だ。