Googleは社内業務でのAI活用事例を紹介し、生成AIを中心に業務効率化や創造性の発揮に貢献していると説明した。ソフトウェア開発、マーケティング、営業、会議などで導入され、作業時間の短縮や業務品質の向上が実現している。
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Googleは2025年8月18日(現地時間)、同社の従業員が業務でどのようにAIを活用しているかについて、14の具体的事例を紹介した。「Gemini」や「Imagen」「NotebookLM」などのツールを組み合わせて、業務効率化や新たな発想につなげているという。
Googleによると、ソフトウェア開発の現場ではAIが重要な役割を果たしている。現在、Googleにおける新規コードの約30%がAIによって生成されており、その後エンジニアがレビューを実施する仕組みが整備されている。コードレビューやテスト、移行作業といった開発ライフサイクル全体でAIが支援することで、開発速度は約10%向上したという。バグ管理にもAIが利用されており、問題の原因特定や優先順位付けを迅速化している。特に重複バグの12%がAIによって自動処理されるようになった。
システム開発だけでなく、クリエイティブやマーケティングにもAIが導入されている。
マーケティングチームはGeminiを利用してキャンペーンのアイデア出しや動画スクリプトの草案を作成しており、「YouTube」編集チームはポッドキャストから引用文やタイムスタンプを抽出する作業でAIを利用する。イベント用のビジュアル制作にもAIが利用されており、2025年の「Google I/O」では219枚の基調講演用スライドの作成に生成AIが貢献した。画像は48%、動画は80%が「Veo」やImagenによって生成されているという。
新規アイデアの検証においてもAIの利用が進む。Google DeepMindは「Flow」や「Veo 3」を用いて動画を試作し、Geminiでプレゼンテーションの異なる切り口を試すなど、AIを検討段階の支援役として利用している。営業活動にもAIが組み込まれており、「Google Cloud」の営業チームでは社内向けAIツールにより提案依頼(RFP)への対応件数が前年比78%増加した。リードの質を高めるAIツールにより、6週間で商談化率が14%上昇した事例も紹介されている。
会議でもAIが利用されている。「Google Meet」ではGeminiがリアルタイムで会話を文字起こしし、要点やアクション項目を自動生成する機能が導入されている。2025年6月だけで、5000万人以上の参加者がこのAI機能を利用している。安全性の確保に関しても、Trust&SafetyチームがAIを利用してポリシー違反の可能性があるコンテンツを検出、通報している。2024年だけでも10億件以上のコンテンツを手作業で確認しており、AIによる事前検出が大きな負担軽減につながっているという。
従業員アンケートの分析ではNotebookLMを使い、数千件のアンケート回答を瞬時に要約し、改善点を抽出した。採用活動でもAIが候補者のスキルや経験を適切なポジションと照合する作業を支援しているが、採用担当者が最終的には判断している。
社内食堂における食品廃棄削減にもAIが導入されている。AIによるデータ分析を基にメニュー構成を最適化し、各拠点ごとの特性に応じた対策を講じることで、2019年比で従業員1人当たりの食品廃棄量を39%削減することに成功したと報告されている。
Googleは今回の発表を通じて、AI活用の利点は単なる業務速度の向上にとどまらず、創造性の発揮や複雑な課題への対応を可能にし、戦略的業務により多くの時間を割けるようにする点にあると強調した。
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