MIXI、ChatGPT全社導入で99%が生産性向上を実感 月間1.7万時間削減を実現した活用術AIニュースピックアップ

MIXIは全社的に「ChatGPT Enterprise」を導入し、月間1万7600時間の業務削減効果を実現した。従業員の高い利用率と独自活用によって生産性と創造性が向上し、カスタムGPTや部門別施策が成果を生んでいる。

» 2025年08月26日 08時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 MIXIは2025年8月21日、OpenAIの企業向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」を全社で導入した結果、推計で月間約1万7600時間の業務削減効果があったと発表した。従業員1人当たりに換算すると、月間約11時間の効率化に相当するという。

月間1.7万時間削減を実現した活用術

 同社は2025年3月にChatGPT Enterpriseを全従業員に導入し、OpenAIと連携した教育プログラムを通じて活用を推進してきた。全従業員を対象にした「ChatGPT 101トレーニング」や新入社員用のワークショップに加え、エンジニアを対象としたハッカソンも開催。こうした取り組みの結果、導入から3カ月未満で週次アクティブユーザー率(WAU)は80%に達し、月次アクティブユーザー率(MAU)も90%を超えた。1800を超える「カスタムGPT」(GPTs)が作成され、現場起点での活用事例も広がり、業務効率化に直結する成果が表れている。

 全社アンケートによれば、利用者の99%が生産性の向上を実感し、89%が仕事に対し満足度の向上を回答した。90%が「時間を節約できた」と答え、その内22%が「週5〜10時間以上の削減」と回答。67%が創造性の向上を感じており、生成AIの活用が業務の質的向上にも寄与していることが示されている。

 用途としては文章の作成や編集が多く、続いてアイデア創出や調査業務、技術的課題の対応、データ分析などが挙げられた。各部門では独自の事例も生まれている。法務部では利用規約確認用のカスタムGPTによって月間40時間の削減を実現。みてね事業本部では企画業務に活用し、月間28時間の削減効果を得た。経営推進本部では予算関連の問い合わせに対応するBotを導入し、年間150時間規模の効率化を見込む。投資事業部ではスタートアップ検討プロセスにカスタムGPTを導入し、作業時間を最大90%短縮する成果(年間約108時間の業務削減効果)も確認されている。

 MIXI取締役の村瀨龍馬氏は、ChatGPT Enterpriseの導入を「効率化のための施策ではなく、創造的業務に集中するための基盤整備」と位置付けた。わずか数カ月で1800を超えるカスタムGPTが従業員主導で生まれた点を評価し、「生成AIをいかに早く“使いこなす”段階に移行できるかが事業競争力を左右する」と述べた。同社では現在、300件を超えるAI関連プロジェクトが同時進行しており、実務レベルへの実装が急速に進んでいるという。

 MIXIは2023年から全社的に生成AIの活用を推進しており、2024年12月には「AI推進委員会」を設立。ガイドラインの整備やAIアンバサダーの配置により、安全かつ現場主体の利用を広げてきた。2025年7月末時点では従業員のAI利用率は99%に達しており、ChatGPT Enterpriseに加え複数の生成AIツールも活用している。

 今後は社内ナレッジベースの拡充や外部プログラムの導入を進め、業務での定着と高度化を図る方針だ。MIXIはAIを業務基盤に据えながら「コミュニケーション×AI」の新たな価値創出を目指すとしている。

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