IBM、国内AI共創拠点「AI Lab Japan」を10月開設へ 日本企業の産業変革を支援AIニュースピックアップ

日本IBMは年次イベント「Think Japan」で、国内におけるAI共創拠点を2025年10月に設立すると発表した。

» 2025年09月25日 07時00分 公開
[ITmedia]

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 日本IBMは2025年9月17日、AI専門の研究開発拠点「IBM AI Lab Japan」を同年10月に立ち上げると発表した。同社の年次イベント「Think Japan」で明らかにした。

日本市場特有のニーズに対応 具体的な施策は?

 IBM AI Lab Japanでは、国内の顧客やパートナー企業と連携し、AIエージェントや業務アプリケーションからAIモデル管理ソフトウェア、ハイブリッドクラウド基盤、AIチップを含むハードウェアまでを統合した「フルスタックAI」の活用を促進する。加えて、経済安全保障の観点から重要性が増す「ソブリンAI」の確立にも取り組む。ソブリンAIは、国家が自国のデータや技術基盤を活用して独自に開発、運用、管理するAIシステムや運用能力、体制を指す。

 日本IBMによると、日本の産業競争力を強化するためには、AIによる生産性向上と新たな価値創出が不可欠だという。同社は、自社の技術力や研究開発、コンサルティング機能を集約し、国内のパートナー企業や学術機関と協業することで、日本市場特有のニーズに対応したユースケースを迅速に開発、実装する方針だ。

 IBM AI Lab Japanの取り組みは次の3つの領域に分かれる。

 1つ目は、「日本市場向けのAI製品の開発、実装支援」だ。日本IBMの東京ラボラトリー内に、AIに特化したソフトウェア、ハードウェアの開発拠点を設置する。同社の海外の開発部門と連携して、日本企業特有のニーズに即したIBM製品の開発、改良を進める。

 2つ目は、「AIソリューションの共同開発」だ。日本IBMやパートナー企業が提供するAIエージェントを活用したソリューション開発や、企業内データとAIを安全に運用する統合基盤を設計する。

 3つ目は、「AIを組み込んだ製品、ソリューションの共同開発」だ。日本IBMが提供する業界向けソリューションと、顧客アプリケーションへのAI組み込みを推進し、各製品やソリューションの付加価値の向上を推進する。

 日本IBMは、これらの取り組みを通じて獲得した成果を同様の課題を持つ顧客へ展開するとともに、一部はオープンソースとしてコミュニティーに還元する計画だ。

 AI分野に知見を持つパートナーに対するIBM AI Lab Japanへの参加の呼び掛けも始まっている。日本IBMによると、さくらインターネットとはパートナー企業としての参画に向けた協議を開始。東京大学の松尾・岩澤研究室と連携する松尾研究所ともAIパートナーシップ契約の締結に向けた協議を進めているという。

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