AI営業エージェントで年間2.2億円の売り上げ増 商談化率を引き上げた対話設計ITニュースピックアップ

スクールバス空間設計はAI営業エージェントの導入で機会損失を削減し、商談化率向上と短期成約を実現した。商談化率75%を実現した対話設計とは。

» 2026年05月01日 07時00分 公開

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 スクールバス空間設計は2017年創業の企業で、リノベーション設計施工や不動産仲介、店舗デザイン、カフェ運営を一体で提供している。大阪や京都、神戸、堺、東京、福岡へと拠点を広げ、売上高は21億9000万円、従業員はグループ全体で105人規模に成長した。

 事業拡大に伴い課題も顕在化していた。累計約3000件に及ぶ資料請求への対応が人員体制の限界を超え、年間約8.1億円規模の機会損失が発生していた。事業が不動産や金融、建築など複数分野にまたがることによる専門性の高さから、人員増強による対応は採用や教育の負担が大きく、従来のマーケティングオートメーションによる一斉配信では個別相談の代替が難しかった。

AI営業が商談化率75%を達成

 セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は2026年4月27日、スクールバス空間設計がAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を活用し、営業活動の高度化と収益機会の回復を実現したと発表した。AI営業エージェントの導入により、従来対応できなかった見込み客への対応力が向上し、機会損失の縮小と商談化率の改善につながったとしている。

 スクールバス空間設計はAgentforceを基盤にAI営業エージェント「Frank」を開発した。経営や営業、広報、システム担当、外部ベンダーが連携し、同社の知見とブランド観を反映した設計とした。導入支援はコインタックスが担った。

 Frankは顧客との対話を軸とした4段階のプロセスを持つ。初期段階では顧客の漠然とした関心を整理し、次に条件や予算などの現実的要素を明確化する。その後、専門知識に基づく説明で理解を深め、最終的に面談予約へとつなげる構成だ。この仕組みにより、従来は取りこぼしていた顧客ニーズの把握と関係構築を進めた。

 また同エージェントはWebサイトやメール、「LINE」など複数の接点に配置され、時間帯を問わず対応可能な体制を整えた。問い合わせのタイミングに即応し、関心が高まった段階で予約手続きまで済ませられる点が特徴だ。加えて、会話の流れの中で顧客情報を取得するため、入力負担の軽減と離脱防止にも寄与している。

 導入効果として、資料請求数は90件から190件へ増加し、商談化件数も大きく伸びた。AI経由の商談化率は75%に達し、従来の水準を上回った。導入後3カ月で17件の見込み客から3件の成約を獲得し、売り上げは2650万円となった。年間ベースでは約2億2000万円の売り上げ増加が見込まれる。

 質的な面でも変化が見られる。顧客の潜在的な悩みを対話によって可視化し、専門性を伴う説明により信頼関係を形成できるようになった。これにより、従業員は日程調整などの業務から解放され、提案や体験設計に集中できる環境が整った。

 スクールバス空間設計の代表取締役である田中将司氏は、AIと人の役割分担によって価値提供の幅が広がったと説明する。AIが情報整理や対応の初期段階を担い、人が最終判断や体験価値の創出に注力する体制を構築したと述べた。

 Salesforce専務執行役員コマーシャル営業統括の安田大佑氏もAIエージェントが顧客との新たな接点を生み、複雑な意思決定を伴う領域での支援を可能にすると評価している。顧客は安心して相談できる環境を得つつ、意思形成を円滑に進められるとしている。

 スクールバス空間設計は今後、画像生成AIとの連携による提案の視覚化や、契約後のサービス領域への展開を検討している。2026年12月には東京での新規出店も計画しており、AI活用を軸とした事業拡大を推進する方針を示している。

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