ServiceNow、AIエージェントの「データの空白」を埋める機能群を発表AIニュースピックアップ

AIエージェント導入の「壁」になるのが、サイロ化したデータとガバナンスの未整備だ。ServiceNowはこの課題をどう解決しようとしているのか。年次イベントで発表された新機能群を紹介する。

» 2026年05月25日 15時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 業務システムにAIエージェントを組み込もうとしても、データが部署やアプリケーションごとに分散している企業は多い。データのサイロ化は、AIエージェントが意思決定すべき場所でガバナンスが効かないという問題に直結する。結果として、AIが「推奨はするが実行はできない」状態にとどまるケースが目立つ。

 ServiceNowは、米国ラスベガスで開催した年次カスタマー・パートナーイベント「Knowledge 2026」(開催日:2026年5月6日《現地時間》)、この課題に対応する新機能群を発表した。リアルタイムかつガバナンスを確保した企業データを基盤に、自律型AIを業務で運用するためのデータ機能群が中心となる。

発表された新機能群の中身

 今回発表された機能は、データ基盤、分析、ガバナンス、エージェント制御の4領域にまたがる。主な機能は次の通りだ。

  1. Context Engine: 組織の人材や役割、資産、サービス、ポリシーをリアルタイムでマッピングし、業務フローに組み込まれた状態で取得するビジネスコンテキストをAIに供給する。システムの動作履歴から継続的に学習することで、実行回数を重ねるほど精度が向上する
  2. Autonomous Data Analytics: 同社が2026年3月に買収を完了したイスラエル発のBI・分析プラットフォームベンダーのPyramid Analyticsの技術を活用した分析機能。ユーザーやAIエージェントが自然言語で組織内のデータに問い合わせ、結果を即時に取得できる仕組みを提供する
  3. Autonomous Data Governance: データ資産を継続的に監視し、品質違反を自動でフラグ立てする。セキュリティやプライバシーに関するポリシーをリアルタイムで適用する
  4. Workflow Data Fabric: システムやワークフローをまたいだデータ連携の基盤
  5. ServiceNow Otto: AI対話エージェント。自然言語の指示で複数システムにまたがる業務を完遂する役割を担う
  6. ServiceNow Data Catalog: 自動化された発見、リネージ追跡、共有ビジネス用語集を通じて、組織のデータ資産全体の可視性を提供する。既存のデータカタログと統合できるため、置き換えなしで運用できる
  7. RaptorDB Pro」の拡張機能: エージェント型ワークロードの拡大に対応するため、AIプラットフォーム「ServiceNow AI Platform」のネイティブデータベース「RaptorDB Pro」を拡張した。「Live Perform」は運用ワークロードと分析ワークロードを同一データベースで同時に処理する。「Live Connect」はPyramid Analyticsや他のアナリティクスプロバイダーがServiceNowのライブ運用データに直接アクセスできるようにする。「Live Archive」は低コストのストレージから履歴データとライブデータを一括してクエリできる。グラフデータや時系列データのマルチモーダル処理もネイティブにサポートする
  8. ServiceNow MCP Registry: 企業向けのプライベートなMCPレジストリで、オープンソースの「MCP Registry API」をベースに構築される。AIガバナンス管理機能「AI Control Tower」を通じて管理され、承認済みMCPサーバの社内カタログを提供する。AIエージェントは審査済みリソースのみを検出、接続でき、アクセス時点で制御を強制する。
  9. ServiceNow AI Gateway: エージェント型ワークロードのリアルタイム制御を担うセキュリティゲートウェイ。ガバナンス、オブザーバビリティ、セキュリティの観点から外部のAIシステムを統合的に監視する仕組みを提供する
  10. Workflow Data Network Partner Passport: 新設したパートナー連携の仕組み。既存のData FabricクレジットでIBMやBoomiをはじめとする認定パートナーの対象ソリューションを利用できる。データやAI、ワークフローを単一の商取引契約に統合する

 キウイフルーツ販売大手Zespriのティム・ロイド氏(デジタル運用責任者)は新機能群について次のように述べる。「ServiceNowプラットフォームとAI機能の価値は、人がどう働くかにあり、基幹業務システムを置き換えることではない。当社のERPと運用プラットフォームをまたぐデジタルワークフローレイヤーとして機能している。Workflow Data Fabricによってシステム間でリアルタイムにデータを連携、処理し、従業員の協業やタスクの自動化、課題解決を迅速化できる」

 Workflow Data Fabric with ServiceNow Otto、ServiceNow Data Catalog、RaptorDB ProのLive Connect、Live Archive、Live Perform」、ServiceNow MCP Registry(Innovation Lab経由)はいずれも提供を開始している。Autonomous Data Governance、Workflow Data Network Partner Passportは2026年後半の提供を予定する。MCP RegistryにおけるA2A(Agent to Agent)エージェントカードのサポートも2026年に提供を開始する予定だ。

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