ネットワークもエージェント型へ HPEのArubaとMistの共通化で運用はどう変わるITニュースピックアップ

HPEは、AIファクトリーやデータセンター、企業エッジの全域に自律型ネットワーク戦略を拡張する新施策を発表した。AIデータセンター用ネットワークとルーティング、Agentic AIOps、セキュリティ分野の新機能を投入し、分散化が進むAI活用環境の運用簡素化と性能向上を図る。

» 2026年06月19日 07時00分 公開
[ITmedia]

 Hewlett Packard Enterprise(以下、HPE)は2026年6月16日(現地時間)、AIファクトリーやデータセンター、企業エッジの全域に自律型ネットワーク戦略を拡張する新施策を発表した。

 今回の施策は、AIデータセンター用ネットワークとルーティング、Agentic AIOps(エージェント型IT運用)、そしてセキュリティ分野に新機能を一挙に投入する。これにより、分散化が進むAI活用環境の運用を簡素化し、システム全体の性能向上を図る狙いだ。

エージェント型IT運用の実現へ、AIによる知的自動化を推進

 発表内容は、ネットワークをエージェント型エンタープライズ戦略の基盤に位置付けるものだ。自律型ネットワークによる知的自動化を通じて運用負荷や複雑性を抑制し、人手に頼らない大規模なIT運用の実現を目指す。

 具体的な新機能には、有線アクセススイッチ「HPE Networking CX」の「HPE Mist」対応や、「HPE Aruba Central」へのHPE Marvis機能の展開、さらにエージェント型推論を活用したデータセンター機能の強化が含まれる。

 AIネットワーク関連においては、推論処理やスケールアップ構成に適した「HPE Juniper Networking QFXシリーズ」を追加した。「HPE AI Data Center Solution」には、「HPE Networking Data Center Director」で管理する同シリーズのスイッチ群を統合する。これにより、コンピュート(計算)資源やネットワーク、ストレージ、ソフトウェア、サービスを含む統合基盤を強化し、AMD HeliosをはじめとするAIインフラプラットフォームの実験環境から本番環境への移行、構築の迅速化と、相互運用性の向上を狙う。

 さらに新製品として、推論クラスタやエッジAI用途の「HPE Juniper Networking QFX5140 Switch」を投入する。また、ラックスケール型AI基盤用のスケールアップモジュールとして「HPE Juniper Networking QFX5252 Switch tray」を用意した。これらにより、低遅延かつ高帯域の通信性能を提供し、大規模なAI基盤の性能向上を支援する。

 HPEは、これらの技術によってGPUの待機時間を抑え、AI基盤における通信ボトルネックの解消と運用効率向上、総保有コスト低減につなげる考えを示した。

ArubaとMistを融合、データセンター向け予測分析や高度推論エージェントも導入

 Agentic AIOps分野では、「HPE Aruba Central」と「HPE Mist」のAIプラットフォーム間で機能共通化をする。共通のエージェント機能やハードウェア、AIネイティブな運用手法を採用し、「HPE Aruba Networking」と「HPE Juniper Networking」の製品群統合を推進する。

 有線アクセススイッチである「HPE Networking CX」のスイッチ製品群は、HPE Mistに対応する。これによって、Agentic AIOps基盤の選択肢が広がるだけでなく、AIベースの可視化や自動初期設定、レイヤー2アクセス保証、動的パケット解析、サービスレベル分析、さらには「HPE Marvis」による自動アクション機能を利用できるようになる。

 また、HPE Aruba Centralにおいても、HPE Marvisによる自律運用機能の提供を開始する。有線ポートの自動復旧機能などを備え、ネットワーク製品群全体で自動化の範囲を拡張する。

 さらに、データセンターの運用機能も強化した。AIと機械学習を使った予測分析により、システムや光学機器の障害が発生する前に異常の兆候を検知する。多面的な可視化機能を備えることで、ネットワーク停止の回避やアプリケーションの耐障害性向上を支援する。加えて、データセンターには高度推論エージェントを導入する。数百万件規模のTAC(Technical Assistance Center)事例や「HPE Networking Data Center Director」のコンテキストグラフデータベースを活用し、根本原因の分析から対処策の提示までを自動化する。

「GreenLake」連携による運用一元化と、AIネイティブな統合SASEの展開

 運用統合分野においては、「HPE Mist Networking Data Center Assurance」と「HPE Compute Ops Management」を連携させた。これにより、ツールの分散利用を抑え、コンピュート基盤とネットワーク基盤を横断した一元的な可視化や分析機能を提供する。さらに「HPE GreenLake」との統合も実施し、単一の利用体験(UI/UX)によるITインフラ全体の管理簡素化を図る。

 セキュリティ分野では、「HPE Networking EdgeConnect」を基盤とする統合セキュア・アクセス・サービス・エッジ(SASE)プラットフォームを発表した。SD-WANとクラウド提供型セキュリティを単一のAIネイティブな管理画面へ集約することで、ゼロトラストの導入を容易にし、ユーザーやデバイス、アプリケーションの保護強化を目指す。

 同プラットフォームは、SD-WANとセキュリティ・サービス・エッジ(SSE)を統合管理できる他、追加のZTNA(ゼロトラスト・ネットワーク・アクセス)基盤を必要としない「SSEコネクター」を搭載する。また、Secure Web Gateway(SWG)トンネルにより、IoT機器を含む端末への保護範囲の拡張も可能とする。さらに「Private Edge」との組み合わせにより、通信を企業境界内に保持するセキュリティ構成にも対応する。自然言語による操作や分析機能を備えたSASE copilot機能も提供する。

 HPE Financial Servicesは、AI対応ネットワークへの移行支援策として「Network Migration Program」を開始する。ハードウェアへの資金調達、ソフトウェア用の無利息融資、既存IT資産の価値活用策を組み合わせることで、企業の導入コストや移行リスクの軽減を図る。

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