「AIエージェントはエンジニアの道具」という見方は崩れつつある。OpenAIが公開した企業のAI利用実態の調査では、2026年2月以降に利用が最も伸びた部門はソフトウェア開発ではなかった。どの部門で、どれほどの差が付いたのか。
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OpenAIは2026年8月12日(現地時間)、企業のAI利用実態をまとめた2つの調査を公開した。一つは法人顧客の利用データを分析したレポート「Enterprise Signals」、もう一つは組織の中でAI利用がどう広がるかを分析した論文「How Organizations Use AI: Evidence from ChatGPT」だ。
エージェント利用の中心は、これまでソフトウェア開発だった。しかし2026年2月以降に利用が大きく伸びたのは、開発以外の部門だ。エンジニアリング部門におけるAIエージェント利用に関する伸び率を上回った職種が複数ある。
最も伸びたのは法務部門で、エージェント型のコーディング支援ツール「Codex」の週間アクティブユーザーが2026年2月以降に108倍になった。
エンジニアリング部門の伸びは5倍で、伸び率の差は20倍以上ある。他の部門も伸びは大きく、営業と採用はそれぞれ41倍、マーケティングは26倍だった。いずれも2026年2月を起点とした増加率で、部門ごとの利用者数の規模は公開されていない。Enterprise Signalsは1000万件を超えるメッセージを対象に、業種と職種ごとの広がりを分析している。
部門を越えた利用が進む一方で、企業間の差は開いている。OpenAIは毎月、法人顧客をアクティブユーザー1人当たりの出力トークン数で順位付けしている。上位10%を「フロンティア企業」(注)、45〜55パーセンタイルを平均的な企業と定義した。2026年6月時点で、フロンティア企業の1人当たり出力トークン数は平均的な企業の8.3倍だった。2026年1月時点は2.6倍で、半年で3倍に広がっている。この差は業種と企業規模を問わず現れており、IT企業に限った傾向ではない。
(注):フロンティア企業とは、月ごとのAI利用量が上位10%に入る企業を指す(OpenAIによる定義)
出力トークン数は、利用の深さを測る代理指標だ。エージェンティックAIは複数の工程にまたがる作業を実行するため、1回の依頼で生成する出力量が多くなる。2026年6月時点では、法人顧客におけるOpenAIの生成AIツール「ChatGPT」とCodexの出力トークン合計のうち、64%をCodexが占めた。
米国の上場企業を対象にした論文では、AIを導入した企業は導入していない企業より資産規模が大きく、従業員数が多く、研究開発投資の水準も高かった。OpenAIは、モデルを利用できる状態にするだけでは活用は広がらないとし、従業員の継続的な学習や業務手順の共有、データ基盤、ガバナンスへの投資が必要だと指摘する。
エージェントが成果を出すには、必要な情報とツールにアクセスできる状態が前提となる。OpenAIの「Plugins」は、特定の業務を完了させるための機能をまとめた仕組みだ。再利用できる指示をまとめた「skills」と、社内データやツール、操作につながる「apps」を組み合わせられる。例えば営業向けのPluginなら、チームの営業手順書とCRM(顧客関係管理)を組み合わせられる。エージェントは最新の顧客情報や過去の提案書を踏まえて、確認用の回答案を作成する。
週間アクティブユーザーのうちPluginsを使う割合は、フロンティア企業で21%、平均的な企業で9%だった。skillsは同19%と3%で、差はさらに大きい。OpenAI社内では週間アクティブユーザーの95%がPluginsを使っており、同社はフロンティア企業でも活用の余地が残ると位置付けている。
多くの意識調査は、経営層や管理職の方がAIを多く利用すると報告してきた。しかし数百万件規模の会話ログを分析した結果は逆だった。導入から6カ月後の時点で、キャリア初期の従業員は経営幹部より週当たり13件多くメッセージを送っていた。OpenAIは、AI活用の習慣が定着した従業員を特定し、その業務手順を社内で見えるようにすることが、全階層への普及につながるとしている。
OpenAIは両調査から、企業が取り組むべき論点として次の3つを挙げた。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。