災害やサイバー攻撃に遭っても、10分で業務再開 日立ら「自動復旧」を実証ITニュースピックアップ

データを同期していても、災害時にすぐ業務を再開できるとは限らない――。人手を介さない自動復旧を、日立らは600キロ超離れたデータセンター間で実証した。約10分で業務を再開させる仕組みとは。

» 2026年09月04日 12時50分 公開
[ITmedia]

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 東京のシステムがダウンしても、大阪では作業が継続して実行されている――。日立製作所が主催したイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」(開催日:2026年9月3〜4日)でこうしたデモが公開された。

 日立製作所と日立ヴァンタラ、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)の3社は2026年8月28日、600キロ超離れたデータセンター間で、災害発生時にアプリケーションを含むシステムを完全自動復旧できることを実機で確認したと発表した。障害の検知から業務再開までに要した時間は約10分だった。

 近年の激甚災害の増加やサイバー攻撃の高度化に伴い、社会インフラを担う企業では、遠隔地間でデータをリアルタイムに同期し、災害時も早期に業務を再開できるミッションクリティカルなシステムが求められていると3社はみる。

 従来、データは同期できても仮想化基盤やOS、アプリケーションを一括して自動復旧する仕組みの構築は難しかった。システム全体が複雑に連動しているため、人手による復旧が中心だった。

全自動復旧を可能にした仕組みとは

 今回、自動復旧を実現する鍵となったのは何か。

 3社の発表によると、日立のストレージ仮想化技術と低遅延・高速なネットワーク「IOWN APN」を融合した長距離データ連携ソリューション「Borderless Data Share」(以下、BDS)に、レッドハットの仮想化プラットフォーム「Red Hat OpenShift Virtualization」を重ねた構成だ。

図1 東京・大阪間(600キロ)を結ぶ実証環境の構成 図1 東京・大阪間(600キロ)を結ぶ実証環境の構成(出典:日立製作所のプレスリリース)

 基盤には、ITコストの増加や仮想化基盤の老朽化を背景に進む、従来の仮想化環境からコンテナ技術への移行を見据えた構成を採用した。

 実証は、レッドハットと日本オラクルの協力を得て、NTTドコモビジネスが提供するIOWN APNの実環境(東京―大阪間に相当する600キロの通信環境)で実施した。日立ヴァンタラのストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform One Block」とRed Hat OpenShift Virtualizationを統合したハイブリッドクラウド環境を構築し、データベースには日本オラクルの「Oracle AI Database」を使った。

 稼働中の拠点(主サイト)で障害が発生すると、コンテナ基盤「Red Hat OpenShift」の高可用化機能からの要求を受けて、日立ヴァンタラのプラグイン「Hitachi Storage Plug-in for Containers」が即座に連動する。障害の検知から副サイトへの切り替え、OSとデータベースの起動が自動で進む流れだ。

 実証の結果、3社は次の3点を確認した。

  1. 約10分での業務再開: 採用したコールドスタンバイ構成(予備のシステムを平常時は停止させておく運用方式)では通常、数秒で完了するストレージの切り替えの後、OSやデータベースの起動に時間を要する。Oracle AI Databaseの起動・リカバリ処理をデータの一貫性を保ったまま2分弱で完了させるなど各プロセスを効率化し、システム全体で約10分での業務再開を実現した
  2. 600キロ超の距離でのデータ保全性の維持: BDSとOracle AI Databaseの連携によって、予備拠点(副サイト)への切り替え後もデータの一貫性を維持したままデータベースの稼働を再開できる。ストレージからアプリケーションまでのシステム全体でデータ保全性を維持できることを確認した
  3. 遠隔地間でのコンテナアプリケーションの実現性: 通信遅延の影響で構築が難しかった600キロ超の遠隔地間でも、Red Hat OpenShiftで稼働するマイクロサービス同士がリアルタイムに連携できることを確認した

 データセンター間でデータをリアルタイムに同期することで、これまで災害対策として待機させていたリソースを本番として活用できる。各拠点で正副リソースを持つ前提からの脱却を図る。

 3社は今後、実証で得た知見をBDSの強化につなげ、金融分野をはじめとするミッションクリティカルな領域への適用拡大を進める。外部からアクセスできない領域に保管したバックアップデータから復旧するBDSのサイバーレジリエンス機能と、リアルタイムデータ同期によるデータ保全を組み合わせ、サイバー攻撃への備えとしての活用も見込む。

 平常時には、電力供給やデータセンターの稼働状況に応じて処理の実行場所を切り替える「ワークロードシフト」の実現も目指す予定だ。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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