「Nehalem」の“行間”を読み解く:Xeon 5500に残る疑問
華々しく登場したIntelの新チップアーキテクチャだが、残された疑問も多い。「Xeon 5500」の性能を生かすにはそれなりの初期投資も必要だ。
3月30日の発表でついに秘密のベールを脱いだ「Nehalem」だが、すっきりしない問題が幾つかある。
まず、IntelのItaniumプロセッサはどうなるのかということだ。
米カリフォルニア州サンタクララのIntel本社で開かれたNehalemの発表会では、Itaniumベースのサーバに関する鋭い質問が投げ掛けられた。Intelのデジタルエンタープライズ部門のパット・ゲルシンガー上級副社長兼ゼネラルマネジャーによると、NehalemはPentium Proの登場以来最も重要なプロセッサだという。Pentium Proは10年近く前に発表された。
さらにゲルシンガー氏は「向こう10年間はこれほど重要な発表はないだろう」と述べた。同氏はItaniumプラットフォームで目指している2つのマイルストーンにも言及したが、Intelにとって当面のフォーカスはNehalemベースのシステムの開発であることは明らかだった。
当面ということでいえば、Nehalemの素晴らしい電力効率と演算効率、そして仮想マシンワークロードの移動機能の多くは、VMwareの「ESX 4.0」を利用することで可能になったわけだが、ESX 4.0はまだβ段階である。
このことを考えれば、ESX 4.0の製品版がリリースされてかなりの時間が経過するまで、ITマネジャーが「Xeon 5500」ベースのシステムの大量購入を開始することはなさそうだ。
しかしXeon 5500番台CPUのサーバ仮想化に関する技術分析記事でも指摘したように、VMware VMotionクラスタでは最大公約数的なプロセッサの機能が提供される。このため、NehalemのTurboモードと同時マルチスレッディングを利用し、アドレス可能なメモリを(従来世代と比べて)2倍にしたいのであれば、Xeon 5500番台のシステムだけを切り離す必要がある。
ハードウェアの宿命はそれが物理的存在であるということだ。ハードウェアが提供する新しいパフォーマンス改善機能を利用するには、実際に新しいハードウェアを購入し、設置しなければならない。
Xeon 5500番台ベースのシステムを導入したいと考えているITマネジャーは、既存の機器のリース期限と償却完了日をよく確認する必要がある。そうでないと、電力コストの削減とパフォーマンスの改善で節約できる経費が帳消しになってしまうからだ。また、Intelが推奨最大メモリとして宣伝している144GバイトのRAMをサーバに搭載するというのも、Xeon 5400番台ベースのシステムを増強するのと比較すると非常に大きな初期投資となる。
一般にデータセンター用サーバの購入では、細かい部分に厄介な問題が潜んでいる。Xeon 5500番台の場合、すべてのSKU(製品型番)が、仮想化されたアプリケーションで威力を発揮する同時マルチスレッディング機能を備えるわけではない。また、同時マルチスレッディングを活用できるようにアプリケーションを修正するには、相当な労力が要求されるだろう。
2年後にはこれらの厄介な問題が解消されるだろうが、現時点で戦略的な判断を下そうとしているITマネジャーは、こういったプロセッサの技術革新は、データセンターのインプリメンテーションとアプリケーション開発の次のフェーズを見据えたものであることを忘れてはならない。
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