国内サーバ出荷金額、6年度ぶりの二ケタ減に:MM総研調べ
2008年下期に起こった世界的な景気悪化が企業のIT投資意欲を減らしたことで、2008年度のPCサーバ出荷金額が6年度ぶりに二ケタ減になる。
2008年度における国内のPCサーバ出荷金額が6年度ぶりに二ケタ減になることが、調査会社MM総研の発表で明らかになった。2008年下半期に起きた世界的な景気悪化がPCサーバ市場を直撃した。2009年度上半期も厳しい状況が続くという。
同社によると、2008年度(2008年4月から2009年3月)における国内のPCサーバの出荷金額は、前年度比10.2%減の2010億円になった。二ケタ減はドットコムバブルがはじけた2002年度以来で6年ぶり。出荷台数も同2.5%減の54万2230台にとどまった。
市場が縮小した原因は、2008年度下半期の世界的な景気悪化に伴い、企業がIT投資を控えたこと。大手の金融業や製造業を中心にサーバの投資意欲が鈍り、下半期の出荷台数は前年比10.2%減を記録した。2009年度上半期も厳しい状況が続き、2期連続の二ケタ減の可能性が高いとMM総研は見る。
PCサーバの平均単価は37万1000円で、前年度から3万1000円下がった。パーツの価格下落やメーカーによる値下げ攻勢が響き、単価下落の傾向が顕著にあらわれている。
こうした中、2009年度のPCサーバの出荷台数は前年度比6%減の51万台になる見通し。今後は、UNIXやメインフレームといった大規模サーバの入れ替えや、WiMAXなど次世代通信網の拡大が起こり、PCサーバの出荷増をけん引する。そのため2009年度下半期には台数減が底を打ち、2010年度には回復する見通しだ。
NEC、猛追するHPをかわしてシェア拡大
ベンダーごとの出荷実績を見ると、首位のNECが前年度から唯一シェアを拡大している。同社が得意とする中堅・中小企業や公共関連のサーバ需要について、落ち込みが小さかったことが奏功した。
1万円台の下位機種のサーバを投入し、猛追の姿勢を見せていた日本HPともシェアの差を広げた。日本HPは金融系や製造業、外資系企業などが主な顧客だが、大手がサーバへの投資を控えたことが影響し、シェアが伸び悩んだ。
2009年度はベンダーのシェア争いが一段と激しくなるとMM総研は予想。2009年に入りHP、デル、IBMがサーバの価格を20〜30%下げる販売戦略を実行した。これに富士通やNECも参戦し、サーバの価格を下げている。
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