サイボウズとマイクロソフト、SharePointを基盤に新グループウェアを開発へ
サイボウズとマイクロソフトは業務提携し、SharePoint Serverを基盤に新たなグループウェアを開発すると発表した。商品の提供は2010年を予定し、実装する機能などは今後詰める。新たな需要開拓が急務のサイボウズとパートナービジネスの拡大を見込むマイクロソフトの利害が一致した格好だ。
サイボウズとマイクロソフトは9月28日に記者説明会を開催し、グループウェア製品の開発および販売について業務提携すると発表した。2社で開発した大規模企業向けグループウェアの新製品を2010年上半期に提供する見通しだ。技術支援とマーケティング活動の共同展開が提携の主な内容で、資本提携はない。サイボウズは大規模向けグループウェアの利益拡大、マイクロソフトは収益源の1つであるパートナー企業との提携強化を狙う。
業務提携の転機は「樋口社長がマイクロソフトの社長に就任したこと」と青野氏。米Microsoftのパートナー向けカンファレンスに参加し、100カ国から6000人が集まる「世界に広がったエコシステム」を実感。「この規模のパートナーが製品を扱ってくれれば、世界に進出できる」と考えたという
業務提携で開発する新グループウェアには、マイクロソフトの文書共有ソフト「Microsoft Office SharePoint Server」のアプリケーション基盤を活用。この上に、サイボウズのグループウェア「サイボウズ Office」や「サイボウズ ガルーン」のアプリケーションや機能を載せた製品を開発し、SharePoint Server上で動くグループウェアの提供を目指す。
アプリケーション基盤となるSharePoint Serverの柱となる機能は、(1)ビジネスインテリジェンス、(2)エンタープライズコンテンツ管理、(3)コラボレーション、(4)エンタープライズ検索――の4つ。これにサイボウズのグループウェアの機能を追加することで、「日本独自の商習慣に合うように味付け」(マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長)した新グループウェアを想定。SharePoint Serverを導入済みの企業が追加で利用できる機能を形にしていく。
新製品のアーキテクチャ(基本設計)として、アプリケーション基盤に「Microsoft Office SharePoint Server 2007」およびデータベースソフト「Microsoft SQL Server 2008」を、OSに「Windows Server 2008」を据える。
新製品の詳細は今後詰める。2社で新製品におけるニーズをユーザー企業に聞き、実装する機能を選んでいく。現段階では「ゼロから新しいアプリケーションを作るのではなく、これまでのグループウェアのノウハウから、SharePoint Serverに見合う機能を移植していく」(サイボウズの青野慶久社長)見通し。販売価格も未定としている。
サイボウズでは、既にSharePoint Serverを導入している大規模企業のシェア獲得を狙う考え。「(創業から)12年間グループウェアを展開してきた中で、大企業に製品を広げきれていない」と青野氏。サイボウズ単独での事業展開への限界を率直に認めた上で、マイクロソフトとの提携を「独立独歩で進めてきた事業を拡大するために、10年に1度のチャンスだ」と位置付け、これまで逃してきた「Exchange ServerやSharePoint Serverとシームレスに動かなかったために落としてきた案件」を取りに行く。
マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長は「パートナーとの提携は(マイクロソフトの事業における)基本中の基本」と話す。世界規模で商品やサービスを展開する同社にとってパートナー企業との協業は、商習慣などきめ細やかな付加価値を提供し、日本で「手の届かないニーズ」(樋口社長)をすくい上げるための重要な施策。「サイボウズの豊富な導入実績を基に、大手/グローバル企業にSharePoint Serverを拡大できる日本発のソリューションとして応援していく」と新製品に期待をかける。
新製品の提供を2010年の上半期と想定し、3年間で国内の大手企業を中心に100社への導入を目指す。青野社長は「SharePoint Serverを基盤にグループウェアを開発すれば、世界で一番使いやすい製品を提供できる」と自信をのぞかせていた。
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