「ロードバイク」は、ドロップハンドルが付いたスポーツサイクルの総称で、ジャンルが細分化されています。
今回は、1台目として購入しやすい10万円以下で購入できるコスパの良いロードバイクを紹介しましょう。用途や好みに合ったものを選んで、スポーツサイクルの世界へ足を踏み入れてみてください!
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
ロードバイクはもともと競技用として誕生したことから、「ロードレーサー」と呼ばれていました。その原型は1900年代に完成したと言われており、およそ120年という長い歴史の中でユーザーの使い方に応じてさまざまなジャンルが誕生し、統廃合を繰り返しながら現在に至っています。そのため他ジャンルの自転車とクロスオーバーする部分は多いですが、総じてシティサイクルよりも少ない力で、速く長い距離を移動できる能力を持っています。
現在は円安の背景もあり、ロードバイクの価格が高騰しています。プロユースのハイエンドモデルで200万円を超えるものも珍しくなく、アマチュアレーサーでも100万円前後のモデルを選ぶ傾向にあります。かつては20万円前後が競技用のエントリーグレードと呼ばれていましたが、コンポーネント(パーツ)の進化と値上げもあり、ここ1〜2年でおよそ2倍の40万円台になってしまいました。
競技用のロードバイクは速く走ることが第一義なので、レースに出たい人にはどうしてもそうしたモデルをおすすめするのですが、サイクリングに代表されるファンライドであればその限りではありません。スポーツサイクルの裾野を広げるために、比較的安価なモデルをラインアップしているブランドも多く、10万円以下でも良作はたくさんあります。
ロードバイクは、骨格となるフレームの材質によって価格が大きく変わります。高価なのはカーボン(炭素繊維強化プラスチック)で、軽量高剛性かつ振動吸収性に優れているのが特徴です。ミドルグレード以上のモデルに採用されており、残念ながら10万円以下のラインアップにはありません。
10万円以下のロードバイクのフレームは、アルミかスチールの二択です。どちらもカーボンにその座を奪われてしまいましたが、かつてはプロレースでも活躍していた金属素材。アルミは成型の自由度が高く、カーボンよりも重くはなりますが、安価に製造できることが長所です。一方、クロモリ鋼やハイテン鋼などの総称であるスチールは、アルミよりさらに重いものの、しなりを生かした優しい乗り味が特徴。素材であるパイプ(チューブ)をほぼそのままの形状で使うことから、細身でスマートなスタイリングとなっています。
今回紹介するのは、純粋なロードバイクをはじめ、昨今人気のグラベルバイク、長距離サイクリング向けのランドナー、そしてタウンユース向けの4ジャンルです。純ロードバイクについては、10万円以下だと車重が重く、レースで入賞を目指すような方にはおすすめできませんが、それでもロードバイクならではの爽快な走りが楽しめます。
グラベルバイクは、砂利道を意味するグラベルを名乗ることからも分かるように、アスファルトと未舗装路の両方を快適に走れるように作られたモデルです。最近誕生したジャンルであり、かつてはランドナーがこの分野を担当していました。タウンユース向けについては、決まった名称こそないのですが、細身のスチールフレームを採用したモデルが多く、感度の高いおしゃれな方に選ばれています。
和田商会が取り扱うラビチの「ロードディスク700C」は、ワイヤー式のディスクブレーキを採用しながらも、販売価格7万円台を実現している注目の純ロードバイクです。
アルミ製のフレームにクロモリ鋼フォークを組み合わせ、駆動系はシマノ・ターニーを採用。3種類のフレームサイズを展開し、それぞれハンドル幅やステム長、クランク長を変えるなど、フィッティングに力を入れています。ディスクブレーキは雨でも制動時のフィーリングが変わりにくいことから、天候にかかわらずロードバイクに乗る機会の多い通勤通学ユーザーにおすすめの1台です。
ネストはホダカのスポーツサイクルブランドで、競技指向のプレミアムモデルと、フィットネスや街乗りを重視したスタンダードモデルに大別されます。「ファラド」は後者に属するのですが、6061アルミで作られたフレームはプレミアムモデルの「オルタナ」と共通という、コスパに優れた純ロードバイクなのです。
駆動系はシマノ・ターニーで、フロント2段×リア7段の14段変速を採用。ドロップハンドルに補助用のブレーキレバーを追加したり、街乗りで重宝するキックスタンドを標準装備していたりするなど、ビギナーに優しい仕様となっています。また、タイヤは耐パンク性や耐摩耗性に優れたマキシス・デトネイターで、こうした部分に手抜きがないのも見逃せないポイントです。
上で紹介したネストと同様、ホダカが展開するのがサードバイクスです。身近な存在を目指すというコンセプトの下、ネストよりも安価な設定となっているのが特徴です。「フェスキャンプ」は、42mm幅という太めのタイヤを履いたグラベルバイクで、フレームサイズは1種類のみ(適正身長は160cm以上)、変速段数はリア7段と少なめですが、安価にグラベルバイクの世界をのぞいてみたいという方にはピッタリな1台でしょう。
フレームの各部にネジ穴があるので、キャリアやフェンダーなどが増設しやすく、この価格でライトやペダル、キックスタンドなどが標準装備されているのも魅力的です。
アラヤの「フェデラル」は、ランドナーを現代的にアレンジしたモデル。ランドナーは、フランス語で小旅行を意味するランドネが名称の由来となっており、その名のとおり旅に適したバイクです。悪路も走破できる太めのタイヤと、泥跳ねを軽減するフェンダーを備えているのが特徴で、日本では1970〜1980年代後半にかけて大流行しました。
フレームとフォークにはクロモリ鋼を採用しています。オプショナルパーツとして大型キャリアを用意しており、前後に大型バッグを取り付けることも可能です。こうしたツーリングに適したモデルは、現在ではグラベルバイクが担っていますが、「フェデラル」のような古き良きランドナースタイルも根強い人気があるのです。
日本最大の自転車チェーン店であるサイクルベースあさひが、オリジナルのストリートスポーツサイクルブランド「レユニオン」を立ち上げたのが2011年のこと。細身のスチールフレーム(ハイテン鋼)にドロップハンドルを組み合わせた「コーレル」は、このブランドにおける主力モデルです。
ロードバイクとしてはやや太めとなる32mm幅のタイヤを採用し、ハンドルには補助用のブレーキレバーを装着。標準装備のフレームバッグは、ワイヤー錠やライトなどを収納するのに重宝するほか、付属のストラップを組み合わせることでミニバッグとして使うことも可能です。
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