最新技術が採用された最上位のスマートフォンは、高額でもつい欲しくなってしまうものです。春に発表された「Galaxy」シリーズに加え、5月には「Xperia」や「AQUOS」などの新モデルの情報も発表され、ラインアップの全体像も見えてきました。
ここでは、7月以降に発売を迎える予定の端末も含め、今夏のフラグシップ・ハイエンドモデルとして注目しておきたい5機種のスマートフォンの概要について、おさらいしましょう。
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、ICT機器やガジェット類、ITサービス、クリエイティブツールなどを取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
「Galaxy S23」は4月に発売されたモデルで、NTTドコモ、au、楽天モバイルの3キャリアで取り扱われています。端末価格は販路によって異なりますが、一括購入での実勢価格は13万6000円から(税込、以下同)といったところ。洗練された性能・仕様やコスト面とのバランス感の良い製品であり、人を選ばずにおすすめしやすいモデルだと言えます。
ディスプレイサイズは、6.1インチの有機EL(Dynamic AMOLED 2X)で、解像度は2340×1080ピクセル。120Hzの可変リフレッシュレートにも対応します。
背面には、超広角(約1200万画素)、広角(約5000万画素)、望遠(約1000万画素、光学3倍)のトリプルカメラを搭載します。前面には1200万画素カメラを搭載。こちらは、前世代モデルの1000万画素と比べて、解像度がアップしています。
撮影機能については、「ディティールエンハンサー」機能を活用すると、AI処理によって細部まで鮮明に仕上げることが可能。また、Galaxy Storeからインストールできる「Expert RAW」アプリを活用すると、RAWフォーマットでの撮影にも対応します。
前世代のGalaxy S22と比べると、バッテリー駆動時間が伸びていることもポイントです。例えば、仕様上の数値として、ビデオ再生時間は前世代で最大18時間だったのが、S23では最大22時間まで伸びました。
「Galaxy S23 Ultra」は、Galaxy S23シリーズの上位モデルで、本体にスタイラスペンの「Sペン」を内蔵できるのが特徴。有機ELディスプレイは6.8インチで、先ほどの「Galaxy S23」よりも一回り大きいです。なお、こちらも120Hzの可変リフレッシュレートをサポートしています。
ストレージについては、256GBと512GB、1TBモデルの3種類が用意されています。NTTドコモでは256GBと512GBを、auでは256GB、512GB、1TBを選択可能。最小構成での端末価格は、19万7000円強です。これはGalaxy S23と比べると、6万円ほど高額です。Sペンの利用や、後述する倍率の望遠カメラでの撮影などにこだわりたい人におすすめの端末と言えます。
背面カメラには、超広角(1200万画素)、広角(2億画素)、望遠1(1000万画素、光学10倍)、望遠2(1000万画素、光学3倍)という4つのカメラを搭載。そのため、Galaxy S23よりも、より柔軟な撮影が可能です。従来モデルよりも、光学手ブレ補正やノイズ低減機能が強化されており、暗所や逆光での動画撮影にも使いやすくなっています。
また、こちらも前世代のGalaxy S22 Ultraと比べると、バッテリー持ちが増えています。具体的には、ビデオ再生時間が最大20時間から最大26時間までアップ。6時間ほど伸びています。
「Xperia 1V」は、ソニーが5月に発表したフラグシップモデルで、6.5インチの有機ELディスプレイを搭載します。ディスプレイは、4K HDR対応でリフレッシュレートも120Hzまでサポート。販路については、NTTドコモ、au、ソフトバンクのほか、オープンマーケット向けにも展開されています。ソニーストアでの端末価格は19万4700円です。
同機は、ダイナミックレンジの拡大とノイズ低減を実現する「2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー」をスマートフォン向けに設計し、搭載したことがポイント。センサーサイズ自体も従来比約1.7倍に大判化されており、よりノイズの少ない撮影ができるようになりました。
撮影機能については、新たにAF/AE追従で最高30コマ秒の高速連射ができるようになっています。背面カメラの構成は、超広角(1600万画素)、広角(4800万画素)、望遠(1200万画素)の3眼です。
また、動画撮影・配信に注力している点も目立ちます。ソニーの映画制作用カメラなどから応用した技術により、暗所でも動画を低ノイズかつソフトな色合いで撮影できる機能や、Vlog撮影用カメラで採用されていた「商品レビュー用設定」機能、「Videography Pro」アプリ経由で「YouTube」のライブ配信をする際にチャットを確認できる機能などを搭載しています。
フラグシップらしく、このほかにも最新仕様をふんだんに詰め込んだ魅力的な端末ですが、価格帯は20万円を超えるので、無理なく手を伸ばせる人は限られてくるかもしれません。
シャープのAQUOSは、2023年モデルでは「R8 pro」と「R8」の2機種に分かれます。ここで紹介する「AQUOS R8 pro」は5月に発表されたフラグシップモデルです。搭載する6.6インチのPro IGZO OLEDディスプレイは、1〜240Hzの可変リフレッシュレートに対応します。
背面カメラは、4720万画素の単眼で、独Leica(ライカ)監修の1インチイメージセンサーを搭載します。撮影時の光の強さや色味を測定し補正する「14chスペクトルセンサー」を新搭載したこともポイント。朝日や夕焼け、室内照明などシーンを問わず、より自然な色合いでの撮影が可能になったとされています。
また、細かい点では、背面に搭載された大きなカメラが放熱の仕組みにも使われていることも見逃せません。同社が「サーモマネジメントシステム」と呼ぶ新放熱設計では、カメラリングを通して内部の熱が効率的に放出されます。
同機は、カメラ好きのためのスマートフォンというシリーズの方向性を貫き通している一台。1インチセンサーゆえに再現できる「ボケ味」なども楽しみたいという人におすすめです。6月30日に予約受付が開始され、NTTドコモから7月上旬以降に、ソフトバンクから7月中旬以降に発売される予定となります。
「pro」の付かない「AQUOS R8」は、尖った最上位モデルと比べると少し目線を下げ、より広いユーザーに手にとってもらうことを狙った端末です。
こちらは、NTTドコモから7月下旬以降に発売予定。価格は明らかになっていませんが、AQUOS R8 proよりも数万円は安価に提供されると思われます。ディスプレイは6.4型で、上位モデルより少しだけコンパクト。とはいえ、こちらにも240Hz対応のPro IGZO OLEDが使われています。
同機の背面カメラは、一眼ではなく、標準(約5030万画素)+広角(約1300万画素)のデュアルカメラ仕様になっていることが特徴。標準カメラのセンサーサイズは、上位モデルの1インチと比べると劣りますが、1/1.55インチの大型です。
また、仕様表を確認すると、指紋認証として、上位のAQUOS R8 proでは超音波指紋センサー「Qualcomm 3D Sonic Max」が採用されていますが、AQUOS R8では通常の指紋認証とされています。一方、耐衝撃性能については、AQUOS R8の方が米国国防総省の定める「MIL-STD-810G」に準拠するなど、メリットもあるようです。
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