クロスバイク界の老舗にして代名詞と言える存在が、台湾の自転車メーカー「ジャイアント(GIANT)」が日本市場向けに企画した「エスケープ」シリーズです。
材料費や運送費の高騰および為替変動により、この2年で約4割も価格が上昇してしまいましたが、3月に「LTDモデル」と称したお値打ち限定車が登場。さらに6月にはこのLTDモデルに多数の新色が追加されるなど、今やお祭り状態となっています。シリーズの中から、特におすすめのモデルを紹介しましょう。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
「ジャイアント」は、世界最大の自転車メーカーです。その日本法人が国内市場向けに企画し、およそ20年前の2004年に発売されたのが「エスケープ R」シリーズです。ラインアップの中心的存在である「エスケープ R3」は、長らく5万円台を維持し人気を集めてきました。
しかし、材料費や運送費の高騰および為替変動を受けて数回の値上げを実施。結果、2年前に5万7200円だった「エスケープ R3」は、最新の2023年モデルで7万9200円となってしまいました。これは約38%もの値上げになります。
このように一度値上がりしてしまうと、状況が好転してもなかなか値下がりしないのが世の常です。しかしジャイアントは、3月に実質的な値下げを発表しました。具体的には、3300〜3520円の専用キックスタンドを標準装備した「LTDモデル」の新設です。
先の「エスケープ R3」を例に挙げると、LTDモデルはキックスタンドを追加したにもかかわらず、約25%ダウンの5万9400円(税込、以下同)で販売されています。そして、限定であったはずのこのお値打ちモデルは、6月末に新色が追加されました。もちろん価格は据え置きですので、エスケープシリーズを買うならLTDモデルが流通している今がチャンスなのです!
累計販売台数が50万台を超えるという、ジャイアントの稼ぎ頭が「エスケープ R3」です。軽量なアルミフレームは、扁平(へんぺい)されたトップチューブとベント形状のシートステーによって快適性を追求。これに弾性率の高いクロモリフォークを組み合わせることで、コーナリングや立ちこぎをした際の安定性を高めています。
シティサイクル(ママチャリ)しか乗ったことのない人にも扱いやすく、その先にスポーツサイクルの世界が垣間見えるという絶妙なバランスで設計されており、幅広い層に人気があるのも納得できます。
2023年モデルの定価は7万9200円ですが、これに3520円の専用キックスタンドを追加したLTDモデルはなんと5万9400円で販売されています。6月末には新色としてキャンディレッド、ブルートーン、ティール、ブラックトーン、ホワイトの5色が追加され、ますます魅力度がアップしました。
「エスケープ R3」をベースに、前後のディレーラーや変速レバー、ブレーキレバー、カセットスプロケットなどを台湾のマイクロシフト社のパーツに変更し、2022年のラインアップから登場したのが「エスケープ R3 MS」です。
シマノ製パーツの値上がりおよび供給遅延によって誕生したという背景があり、定価は「エスケープ R3」より4400円安く設定されています。実際に乗り比べてみると、変速レスポンスやレバー操作時の節度感などは、シマノ製の方が明らかに優れています。しかし、初めてクロスバイクに乗る人にとっては些細な差かもしれません。
フレームサイズやカラーバリエーションはR3と共通で、こちらも3520円の専用キックスタンドを追加したLTDモデルが5万6100円で販売されています。
ジャイアントの女性向けブランドである「Liv」にも「エスケープ R3」があります。大きな違いはフレームサイズで、身長140cmの方から乗れるXXSサイズを設定しています。またカラーリングについても、くすみ系を中心にラインアップしていたり、一部の車体色にはブラウンのサドルやタイヤを組み合わせていたりするなど、よりフェミニンなカラーコーディネートとなっています。
コンポーネントについては上で紹介した「エスケープ R3」と共通で、専用キックスタンドを追加したLTDモデルの価格も同じです。
「エスケープ R3」よりも上級の軽量アルミフレームに、フルカーボン製のフォークを採用するのが「エスケープ RX」シリーズです。公称重量は「エスケープ R3」とほぼ同じですが、走らせてみると明らかにRXの方が軽快かつ乗り心地が良く、定価ベースで約4万円違うとこんなにも上質な走りになるのかと驚かされます。
ここで紹介する「エスケープ RX 2 DISC」は、その名のとおり前後にディスクブレーキを採用。雨の日でもコントロール性の変化が少なく、特に上り下りの多いルートを通勤通学される方には大きな安心材料となるでしょう。
「エスケープ RX 2 DISC」にもLTDモデルが用意されており、3300円のディスクブレーキ車用キックスタンドを装着した限定車が9万1300円で販売されています。上で紹介した3モデルと比べるとグッとお高めにはなりますが、「エスケープ R3」の定価が7万9200円なので、プラス1万2100円で買えると考えれば、かなりお値打ちなのは間違いないでしょう。
なお、LTDモデルは全て限定販売のため、予定数に達した時点で終売となります。エスケープシリーズを狙っていたけれど、2023年はすいぶんと値上がりしたためあきらめていた方も多いことでしょう。エスケープシリーズを買うなら、LTDモデルが流通している今がチャンスです。
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