登山に出かける際、普段履いているスニーカーでそのまま山に挑もうと考えたことはありませんか? 登山用の靴を持っていない方や、急な誘いで山に行くことになった場合、スニーカーでの登山が頭をよぎるかもしれません。しかし、スニーカーで山に登ることにはさまざまなリスクが伴います。
本記事では、スニーカーでの登山の注意点や危険性、そしてスニーカーで歩くことができるフィールドについて解説します。
おかだあきほ
フリーランスのライター・編集者。元アウトドアショップ店員。富士登山をきっかけにアウトドアにはまり、登山やキャンプ、トレイルランニングなど幅広いアクティビティを一年中楽しんでいます。自身の山体験や、店員時代の接客経験を生かし、リアルで深い内容を発信!リモートワーカーのため、仕事や日常を快適かつ生産的に行うためのガジェット選びも得意です。
「普段履いているスニーカーで登山して大丈夫?」という質問の答えは「フィールドや難易度、行動時間による」です。スニーカーでの登山は可能かもしれませんが、安全性の観点から、全ての山では推奨できません。
スニーカーは日常的な街歩きや舗装された道を歩くためにデザインされており、山の険しい地形や急な坂道には適していない場合が多いためです。
登山道は岩や根が露出していたりぬかるんでいたりと、滑りやすい状況が頻繁に発生します。登山専用の靴は、こうした不安定な地面での衝撃吸収力やグリップ力を発揮するよう設計されており、足首やアーチのサポートも考慮されています。
またスニーカーは防水性が低いことが多く、雨や水たまりに足を浸すと、すぐに靴の中がぬれてしまいます。ぬれた靴は足を冷やし、長時間履き続けると靴擦れが起きて思うように歩けなくなる可能性も。
このように、スニーカーで登山に挑む場合、打撲やスリップ、足首の捻挫、疲労の蓄積などのリスクが高まることを理解しておきましょう。
「スニーカー登山」といえば、近年、SNSやメディアで「スニーカーで弾丸富士登山」に関する話題が取り上げられていますが、この行為には重大な危険が伴います。富士山は標高3776mと日本一高い山であり、天候が変わりやすいうえ、岩や砂利からなる不安定な道が多くあります。
そのため、普段使いのスニーカーでは足を雨から守れなかったり、砂利が靴の中に侵入してきて痛みを感じたり、足をひねったりと、不快感やケガのリスクが高まります。
装備が不十分な状態で挑むことは、自身だけでなく救助隊にも迷惑をかける可能性があるため、避けるべきです。富士山のような本格的な登山には、ソールが硬めで厚く、アッパーの防水性や足首周辺のサポート力を備えたトレッキングシューズが欠かせません。
一方で、スニーカーが全く使えないわけではありません。整備された道を1時間程度歩くような軽めのハイキングや、舗装された遊歩道を散策する程度であれば、スニーカーでも十分対応できるでしょう。
スニーカーのメリットは、軽さと履き慣れた快適さにあります。舗装された道や公園内の散策など、比較的平坦で危険性の少ない場所では、スニーカーのほうが違和感なく軽やかに歩ける場合もあります。
ただし、急な斜面や滑りやすい場所ではトレッキングシューズほどのグリップ力やサポート力が得られないため、慎重に進みましょう。
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