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<vol.24の内容>
「インタビュー特集:コンパックコンピュータ株式会社
コマーシャルビジネス統括本部 インターネットプロダクト部 部長 湯浅 茂氏 (3)」
ビジネスポータル「b2bpot.com」は、単なるボランタリー・サイトではない。アンケートサイト構築やエージェント・システム導入による顧客の囲い込みを狙っている
2000年9月4日、PC出荷台数世界一を誇るコンパックが新たな戦略を発表した。「iPAQ(アイパック)」と銘打たれたそのビジネスは、BtoB(企業間電子商取引)やBtoE(従業員、企業内個人向け電子商取引)市場をターゲットとし、ビジネスの生産性を向上させるインターネット・コンピューティング環境を提供するものである。
今回は同社コマーシャルビジネス統括本部 インターネットプロダクト部 部長 湯浅茂氏に、iPAQのビジネスモデルとその展望についてお話をうかがった。2000年10月4日、天王洲の本社をお訪ねして実施したインタビューの第3回目をお届けする。
――「b2bpot.com」に携わっている各企業のスタンスはどのようになっていますか?
湯浅:私どもが全体のディレクションを行い、そのほかすべてアライアンス、現状ですと5社と提携して成り立っています。構築と運営はエキサイトさん、ストリーミングの提供がJストリームさん、ウイルスやセキュリティ情報の提供をシマンテックさん、ビジネスモバイルASPサービスの提供を日本通信さん、インターネット・サービス提供および導入相談をピーエスアイネットさんが行っています。
ここでいう「提携」とは、互いになんらかの金銭が発生している関係を指していまして、それ以外にも「情報提供」として金銭が発生せず、リンクさせていただいているケースがあります。例えば、コンピュータ用語事典はアットマーク・アイティさん、ニュースに関しては時事通信社さんから情報提供していただいている状況です。
――提携の条件はありますか?
湯浅:BtoBに関しては、直接提携先のページにとぶのではなく、中間的なページ、つまり「b2bpot.com」のヘッダが付いたページを設けていただいています。さらに契約のロギングがありますので、コンパック専用のアドレスや電話番号を設置していただいています。
――特定のジャンルについては1社のみの提供になりますか?
湯浅:集中的に立ち上げたため、現在のように1ジャンル1社となっていますが、今後は2社、3社が情報を提供する、あるいは競合する、といったことになるかもしれません。ビジネスとして考えても、競合があれば条件の良い方をチョイスする、といったことができるでしょうし。しかしながら現段階では、メニューをそろえることが急務となりますので、まずは欠けているコンテンツをそろえていくことが先決です。
幸いにして、プレスリリースを出してから参画、提携の希望をたくさんいただいています。今後も各企業さんからご提案いただいて条件が整えば提携、となるでしょう。同時に、1つ1つのコンテンツをそれぞれ提供するのではなく、トータルで行っている企業さんと提携して一括してご提供いただくことも視野に入れています。
――「提供」といったニュアンスではなく、逆にユーザーから情報をもらい、それを還元する場の構築などは考えていますか?
湯浅:当然、中小企業向けのマーケット・プレイスや、会員サイトとしてコミュニティなり、フォーラムなりを構築することは、いずれは行っていかねばと思うところです。
さらには先々の構想ですが、アンケートサイトの構築というのがあります。われわれがエンド・ユーザーに要望を聞き、それを自社のプロダクトに反映させてゆくことも考えていますし、マーケット層が20〜40代のビジネスマン、といった具合に限定されていますので、1件依頼されればいくら、といった広告代理店のようなこともできないわけではありません。
いずれにしても、「b2bpot.com」は単なるボランタリー・サイトではありませんので、現段階でも提携先が提供するサービスが契約に至った際には、私どもにもキックバックされるような仕組みになっています。
――「ページを見ましたところ、バナー広告も入れていらっしゃいますね。
湯浅:サイトの広告は、運営面をつかさどるエキサイトさんが取り仕切っています。広告収入の一部が、私どもに還元される仕組みです。
――今後、事業を成功へ導いていくにあたり、どのようなことが必要とお考えですか?
湯浅:ポータルサイトは、いわゆる待ち構えのビジネスです。ご存じのとおり、大切なのはそこへの誘導です。私どもはボタン1つでそのサイトへとべるというハードを持っている。これがまず大きな強みの1つです。
しかし、それだけで十分だとは思っていません。現在考えているものは、エージェント・システムの構築です。ダイレクトプラスの方ではすでにありまして、PCを購入する方を紹介し、購入に至った場合には手数料をお支払いいただく、といったものです。同じようにサービスも、法人にご推薦いただけるようなエージェントを構築できれば、私どもとしては一種の「囲い込み」が成立しますし、エージェントにとっては付加価値になるでしょう。
――PDA機器への対応はお考えですか?
湯浅:iPAQビジネスの一環として、「iPAQ pocket PC」が2001年前半、日本市場に進出します。これは、マイクロソフトのpocket PC OSに対応したものです。同じiPAQブランドですので、現在施行しているものの携帯情報端末版、といった位置付けになるでしょう。
――ハードの老舗とOSの老舗、という点からか、御社とマイクロソフトの結びつきは強いものがあると思うのですが。
湯浅:マイクロソフトさんとは「フロントライン・パートナーシップ」「ワールドワイド・プライム・インテグレータ」といった世界唯一の提携関係です。マイクロソフトさんがOSを開発する際には、まずコンパックの最新ハードを用いて実験、検証しています。
つまり、マイクロソフトさんの最新OSが発売となれば、すでにコンパックのマシンに適応しているといったことになります。
――湯浅部長ご自身、興味を持たれている分野などはありますか?
湯浅:やはり日本においては、携帯電話市場の動向は目が離せませんね。加えて2001年にはIMT-2000の導入など、常に変革、進化している状況において、インターネット・コンピューティングはよりいっそう柔軟性を求められていくと思います。
常にアンテナを伸ばし、何が注目され何が主流となっていくのか見極めつつ、方向性を打ち出していくことが大切になることでしょう。ちょっとよそ見をしていると、あっという間に取り残されてしまう、そんな時代だと思います。
(おわり)
| 湯浅茂氏 略歴 | |
|---|---|
| 1982年 | 読売新聞社 入社 制作システム部 |
| 1991年 | DEC社主催の人工知能開発プログラムに参加のため留学 |
| 1995年 | アップルコンピュータ株式会社 入社 マーケティング部 |
| 2000年 | コンパックコンピュータ株式会社 入社 現職に至る |
(取材:Netinsider編集部/文:古場俊明)
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