ERPパッケージ(いーあーるぴーぱっけーじ)情報マネジメント用語辞典

ERP package / 統合業務パッケージ

» 2003年02月28日 00時01分 公開

 経営コンセプトとしてのERPを実現するために、企業の主要業務(財務・管理会計、人事、生産、調達、在庫、販売など)を包括する情報システムを構築するために開発された大規模な統合型パッケージソフトウェアのこと。統合業務パッケージともいう。

 1980年ごろ、ERPという経営概念を実現するためのシステムは、汎用機の上に構築され、最初のERPパッケージも汎用機をターゲットプラットフォームとしていた。やがて、1980年代後半からのダウンサイジング化の流れを受けて、1990年代初めにクライアント/サーバ・システムで動作するERPパッケージが誕生している。

 ERPシステムは、業務や部門単位の情報システムと違って、企業で行う基幹業務のすべてを発生ベース(伝票処理)で1つのデータベース(大福帳型データベース)に一元管理する、もしくは会計・販売などの個々のシステム間で連携する設計により、基幹業務全体を統合的に管理する。特に、受注・販売・生産などの業務における個別処理が、入力時点で即時に会計情報として反映され、参照することができることが大きな特徴となっている。1つの伝票処理(トランザクション)によって、すべての部門の情報が一度に変更され、それらが要約された会計情報は、その内容の詳細を辿っていく(ドリルダウン)ことで、業務情報のそれぞれのトランザクション(伝票)1つ1つへ結び付けることができる。業務効率が上がるとともに、スピーディな財務会計管理会計の実現、リアルタイムな事業内容の把握による経営者のタイムリーな意志決定が実現する。

 ERPパッケージの導入目的は、経営コンセプトとしてのERPの実現のほかに、業務パッケージの活用によるシステムの早期導入、コスト削減、先進企業の業務ノウハウの取り込みなどもある。

 ただし、ERPパッケージは平均的なユーザーを想定した汎用的なソフトウェアであり、そのまま導入することは、一般的に他社と差別化したり、競争力の源泉になりにくく、業界平均以上に競争力を上げることには繋がらないことにも注意が必要だ。

 企業ごとの固有の事情、特性に対応するため、カスタマイズが行われることが多いが、ERPパッケージのもともとの機能に多くのカスタマイズを加え過ぎると、構築コストが膨大となり、その特性である早期導入、コスト削減に反する場合がある。

 近年のERPパッケージは、各モジュール(ソフトウェア部品)間で統一されたインターフェイスを持ち、モジュールを自在に組み合わせることができる。外部システムとの接続のためのインターフェイスが用意されているのが一般的だ。カスタマイズに関しても、パラメータやテーブルの設定などで多様なニーズに対応できるような工夫がされている。また、業種や業務に対応するための各種テンプレートが多数用意されている製品もある。

 ERPパッケージ製品は、全業務機能を持ち、大きな差がないように見えるが、生い立ちによって具体的な機能に特徴や制約があり、得意とする業界や企業規模などがが異なっている。このため、どのパッケージを採用するかを判断の際には、自社業務との適合性の十分な確認が必要である。

 ERP概念は、歴史的にはMRPから発展してきたとされるが、個別の製品を見ると生産管理系の製品ばかりではなく、むしろ日本では会計システムから発展した製品が主流である。

 代表的なERPパッケージとしては、SAP ERP(SAPジャパン)、Oracle E-Business Suite(日本オラクル)、PeopleSoft Enterpriseアプリケーション(日本オラクルインフォメーションシステムズ)、GLOVIA(富士通)、SCAW(NTTデータ)などが挙げられる。

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