total quality control / ティキューシー / 総合的品質管理 / 全社的品質管理
主に製造業において、製造工程のみならず、設計・調達・販売・マーケティング・アフターサービスといった各部門が連携をとって、統一的な目標の下に行う品質管理活動のこと。
JIS(日本工業規格)用語では、次のように定義されている。
もともとは、1950年代にGE社の品質管理部長だったA・V・ファイゲンバウム(Armand Vallin Feigenbaum)が提唱した言葉で、「最も経済的な水準で、顧客を十分に満足させるような製品を生産するために、企業の各部門が品質開発・維持・改良していく努力を総合的に調整すること」としている。
日本の製造業は終戦直後から1950年代にかけて、統計的品質管理(SQC)やデミングサークルなどの品質管理手法を強力に導入・推進していたが生産各工程への適用に留まっており、これを統括的に扱う手法として1960年代にTQCが輸入された。このとき、オリジナルのTQCが「製品提供の全プロセスで総合的・調整的に品質管理を行う」という点がポイントであったのに対して、日本で実践される過程でTQCは独自の発展を遂げた。
日本のTQCの特徴は、現場のQCサークルを中心とした「全員参加型」の活動にある。QCサークルとは、現場の監督者と作業担当者が品質管理について意識を高め、具体的な活動のアイデアを出し合う小集団のこと。日本ではQCサークルを主体として、QC手法の開発や診断、改善、教育・訓練などが進められた。QCサークル活動を盛り上げるため、1962年には雑誌「現場とQC」が創刊、日本科学技術連盟(日科技連)内には「QCサークル本部」が設置された。また、同連盟会長名で企業・個人を表彰する「デミング賞」は、TQCの普及・推進を目的とした制度である。
こうした活動の結果、ファイゲンバウムが提唱した「全プロセス型TQC」とは異なるものの、現場作業者が中心の日本型TQC(別名CWQC:company-wide quality contorol)が確立された。
この日本型TQCは「良い製品を、より早く・安く」という目的に対し、現場や全社員が一丸となって改善に取り組むことで、1980年代をピークに圧倒的な国際競争力を生み出してきた。しかし1990年代に入り、顧客ニーズが多様化し、製品ライフサイクルが短くなるにつれ、TQCの問題点も明らかになってきた。最大の課題は、TQCは企業内の活動に軸足を置いているため、顧客志向でない、“改善”は得意だがブレークスルーを生み出しにくいことなどである。
そこで米国ではTQCに変わる新しい概念として、TQMが提唱された。米国型TQMにはトップダウン型、顧客満足の導入などの特徴があり、日本型TQCと異なる面があるが、海外では日本型TQCを含めて“TQM”と紹介されることも多く、1996年には日科技連もTQCという用語をTQMへ変更している。
▼TQM(total quality management)
▼SQC(statistical quality control)
▼HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)
▼SQuBOK(software quality body of knowledge)
▼CMMI(capability maturity model integration)
▼CMM(capability maturity model)
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