covariance structure analysis / CSA
各種の社会現象・自然現象などの因果関係を調べる統計的手法の1つ。直接観測される変数(観測変数)から、直接観測できない潜在変数を導き出し、その潜在変数と観測変数の因果関係について仮説(数理モデル)を設定することによって、さまざまな現象を理解しようという統計的アプローチである。
例えば「アンケートに対する回答」という観測変数から、「ブランドイメージ」というような潜在変数(構成概念)を計量可能な数値として導出し、ほかの変数との因果モデル(ブランドイメージが購買行動に与える影響など)を想定し、その妥当性を検証して仮説の適否を判定することで、因果関係の強さを推定するといった検証的方法が一般的に行われる。
共分散構造分析は、従来の因子分析に対して提唱された「確証的因子分析」が発展したもので、おおざっぱな理解としては因子分析と回帰分析を統合的/検証的に行うものだと考えることができる。
近年では、共分散構造だけではなく潜在変数の平均構造を解析するモデルも開発されたことから、構造方程式モデル(SEM:structural equation models)と呼称されることが多い。ただし、この呼び名は共分散構造分析の一部モデルを意味することもあり、注意が必要である。
▼『原因をさぐる統計学――共分散構造分析入門』 豊田秀樹、前田忠彦、柳井晴夫=著/講談社・ブルーバックス/1992年7月
▼『図解でわかる共分散構造分析――データから「真の原因」を探り出す新しい統計分析ツール』 涌井良幸、涌井貞美=著/日本実業出版社/2003年3月
▼『入門共分散構造分析の実際』 朝野煕彦、鈴木督久、小島隆矢=著/講談社/2005年12月
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