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» 2004年10月22日 12時00分 公開

IT効果測定・評価サービス・レポート(5):日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)――ユーザー視点のIT投資効果測定「JUAS指標」を策定 (1/2)

『IT投資効果をどのように測るのか?』という企業の関心は非常に高い。そのようなニーズに応えるため、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、IT投資効果を測定するための共通的な指標の策定を進めている。

[@IT]

企業はIT投資の評価に高い関心

 IT投資の効果をどのように測るのか。企業が、IT投資を測定するための共通的な指標を策定できないだろうか。そうした発想の下、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、ITコストマネジメント研究プロジェクト報告書「先進諸国との対比におけるIT投資/ITコストダウンとITコストマネジメント」をまとめた。

 JUASの研究プロジェクトで浮かび上がってきたITのコストダウン項目は図1のとおりである。図1に整理された項目を企業が実際に実施していくためには、自社のIT投資とその効果について把握しておくことが前提となる。そこで、JUASの研究プロジェクトでは、企業のIT投資把握の実態と、IT投資をきちんと把握するための手法・評価モデルも作成している。ここでは、JUASのIT投資に関する研究成果と今後の取り組みを中心に紹介する。

コストダウン対策の背景と要因
1. 継続的なコスト競争力強化に追従した情報システム・コストダウンの追求(P/L、B/Sの改善)
2. 特定ベンダとの不明瞭なシステム構築・運用コストの明確化(コストプラス方式でコストダウン)
3. 重装備の情報システムのスリム化(必要な機能・性能の安価なシステムへの移行)
具体的な情報システムのコストダウン対策項目
情報システム開発投資費用削減
1. 業務処理の簡素化/ツール化で開発範囲の削減
2. エンドユーザによる見積照会書作成による調達でコスト削減
3. 情報システム構造の標準化による構築の合理化
4. アプリケーションプログラム類の再利用によるコスト削減
5. 短期間で経済的な成果を追求するプロジェクト/開発管理
情報システム運用費用削減
1. 優れた価格性能比のITインフラにリプレース
2. VPNIPセントリックでネットワークコスト削減
3. マシンの統合化による運用コスト削減
4. メンテナンスの合理的な実施でコスト削減
5. アウトソーシングによるコストダウン追求
基本的な構造改革によるコストダウン追求
1. 新技術による再構築でコストダウン(例:オープンソフトウェア活用、コンポーネント指向構築、ERPなど)
2. 共同利用システム、ASPなどでのアプリケーション利用でコストダウン
3. 高信頼システムによる長寿命化によるシステムライフコスト削減
4. バックアップマシンの外部リソース利用によるコスト削減(オンデマンド利用)
5. コスト管理強化(償却方法/リース方法の工夫による一時的なコスト削減など)
具体的な情報システムのコストダウン対策項目
適切で安価のハードウェア/ソフトウェアとマンパワーの確保でコストダウン追求
事業戦略/事業計画上で必要な機能・性能に限定した情報システムの構築・運用でスリム化
図1 情報システム・コストダウン対策項目 出所:社団法人日本情報システム・ユーザー協会


 まず、IT投資測定に対する関心は、企業のITに関する関心事項の中でどれほどの位置にあるのか。トップは、「システムの再構築・新システム構築」で、以下「ITコストの削減」「セキュリティ」に続き、「IT投資評価」は第4位だ。IT投資効果を評価したいという企業の気持ちは強い。

図2 ITに関する関心事(指数回答) ≫出所:社団法人日本情報システム・ユーザー協会

伴わないIT投資評価の実施

 では、どのくらいの企業がIT投資効果を測定しているのだろうか。それは、企業規模によって異なる。JUASでは、IT投資の「事前評価」と「事後評価」を調査しているが、「事後評価」について見ると、「実施している」企業は、売上高が1000億〜1兆円の企業で12%、1兆円以上の企業で25%である。「一部実施している」企業も含めた場合、1兆円以上の企業は71%が事後評価を行っているのだが、残りの約30%は何もしていないという結果が表れている。企業規模が小さくなるにつれ、「実施していない企業」の比率は高まる。100億円〜1000億円という中堅クラスの企業では、約58%が事後評価をしていない。IT投資の効果を測りたいが、実施できていないという企業の姿が浮かび上がってくる。

図3 企業売上高別IT投資効果測定 上が「事前評価」、下が「事後評価」の実施割合 出所:社団法人日本情報システム・ユーザー協会

 では、なぜ、IT投資の評価が行われないのだろうか。JUASは、その原因を探るためのアンケート調査を行っている。「評価する必要がない」という回答は少なく、多くの企業がIT投資評価の必要性を感じているのである。対して、「事後評価には案件に深くかかわったメンバーの協力が必要であり、特に悪い状況をまとめるには抵抗がある」という項目には多くの企業が「非常にそう思う」と答えている。

 企業において、実際にIT投資の評価を行う役割を担うのは多くがIT部門である。自分で実行したプロジェクトを自分で評価することは、難しいという実態が見えてくる。

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