ubiquitous network
あらゆる情報端末、機器、(ICチップを搭載した)物品が、有線/無線の多様なネットワークによって接続され、いつでもどこからでもさまざまなサービスが利用できるようになるネットワーク環境、利用環境のこと。
もともと日本では、ノートPCやPDA、携帯電話、カーナビゲーションなどによるモバイル機器の利用を好むユーザーが多かったが、1999年2月にNTTドコモが「iモードサービス」を開始すると、爆発的に「携帯IP接続」が普及した。これを機に、各種モバイル機器をネットワーク接続、インターネット接続する技術やサービスが次々に登場し、従来の“モバイル・コンピューティング”が大きな転換を迎えた。
この状況を背景に、マーク・ワイザー(Mark Weiser)氏のユビキタス・コンピューティングの概念を借りて、野村総合研究所が提唱したのがユビキタス・ネットワークである。
これは、日本が圧倒的な競争優位を持つ各種情報機器を光ファイバ、ADSL、IMT‐2000、FWA、ブルートゥースなどのインフラで結ぶことにより、高度なネットワーク利用環境を実現しようという構想を示すものである。例えば、携帯電話からほかの場所にある会社のコンピュータにアクセスできたり、PDAやマイクロプロセッサが内蔵された情報家電、カーナビ、コンビニに設置されているマルチメディア端末などがネットワークで接続されることで場所を問わず、遠隔地のほかのコンピュータ資源が利用できるようになるといったことを指す。
具体的な機能やサービスは、提唱者やベンダによってさまざまで、例えば携帯電話を電子マネー/電子決済、カギ、定期券、家電機器のリモートコントロールに使うといったもの、あるいはGPS/RFID/IPv6によって人間やモノをネットワーク追跡下に置くといったものなどが挙げられる。
また、社会や個人の生活スタイルに変化を与えるものとして語られることも多く、総務省は2001年11月、「ユビキタスネットワーク技術の将来展望に関する調査研究会」を発足させ、「平成16年度IT政策大綱」には「ユビキタスネットワーク社会の実現」が盛り込まれている。
▼『The Computer for the 21st Century』 Mark Weiser=著/Scientific American, pp.94-100 Sep. 1991/1991年
▼『ユビキタス・ネットワーク』 野村総合研究所=著/野村総合研究所広報部/2000年12月
▼RFID(radio frequency identification)
▼ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)
▼IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)
▼GPS(Global Positioning System)
▼IPv6(Internet Protocol Version 6)
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