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» 2005年04月28日 12時00分 公開

テスト設計の方針は千差万別ソフトウェアテスト・エンジニアの本音(5)(3/3 ページ)

[大西建児,株式会社豆蔵]
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 次はJaSSTのスポンサー出展状況を通して、テスト業界の現在の盛り上がりについて実行委員のサイクスの湯本より述べてもらいましょう。

テストツールの投資対効果に目を向けること

 サイクスの湯本です。実行委員会にてスポンサー企業との窓口を担当した立場から昨今のテスト業界の状況について述べます。

 ソフトウェアテストのマーケットは欧米に比較して、日本ではまだまだこれから成長させていかなければならない状況です。例えば、欧米ではフリーツールだけでなく、高額な商用のテストツールでもうまく使いこなすためのMLのようなネット上のコミュニティが多く存在し、現場で活用するためのノウハウをシェアしています。残念ながら、日本ではテストツールを使いこなすための情報が、ニーズが多いにもかかわらず、不足していることは否めません。また、テストのノウハウを持ったプロフェッショナルのサービスを活用し、成功している事例も欧米の方が多いようです。

 そんな中、日本のソフトウェアテスト業界発展の一翼を担うJaSSTに期待してくださるスポンサーも多く(社会貢献だといってくださる方もいまして)非常に励みになりました。



「テスト」のイメージを変える

 日本の開発現場では、ユーザーサイドの意識が低いために、ツールの情報が行き渡っていないという側面があるのではないでしょうか。ツールベンダの方と話をしてよく思うのは、日本の現場ではツールの投資対効果(Return On Investment:ROI)を真剣に見極めたうえで導入への検討がなされていないのではないかということです。ツール単体の値段が高いとか安いとか、安過ぎると信用できないといった話ばかりが先行して、実際に自組織のテストプロセスにツールを適用した場合の中期的なROIを見積もり切れてない場合が残念ながら多いような気がします。その点欧米人はROIで判断しますので、ツールを入れることで十分ペイするかどうかを保守の点も考慮に入れたうえで試算して、導入の是非を問います。とはいえ、比較検討するための情報は豊富な方がよいに決まっていますので、これからもJaSSTではテストで役立つツールを幅広く紹介していく方針です。

 なお、テストツールは、単にテスト実行を支援するものだけではなく、開発フェイズ全体でテストプロセスを管理できるものや、 IDEと連動して動作させるものまで、様々な種類があることも知っておいてください。

 国内では、一般に「テスト」という言葉からイメージされるのは、結合やシステムテストフェイズといった、ウォーターフォール型開発モデルでいう下流工程をイメージされることが多いようです。こういったイメージを持っていると、どうしてもテストの目的は、プログラムが動くことを確認すればよいといった認識になってしまします。そうなると、テストに対する体系的なアプローチの必要性を理解することは難しくなります。

 そこで JaSSTでは、開発工程全般での、テストに対する開発現場の実践的な取り組みだけにとどまらず、学術的なアプローチや、テストを支援するツールなど、テスト全体を俯瞰できるようなプログラム構成にて、これからも開催していく予定です。

 最後に本シンポジウムの共同実行委員長の西から全体を通したメッセージをお伝えします。

 ソフトウェアテストシンポジウム(JaSST)も今年で3回目を数えることになりました。多くのエンジニアやマネジャーの方に参加していただき、今年も満員御礼でした。活発な意見交換や交流が行われたようで何よりです。困っている現場に少しでも助けになったのであれば、実行委員一同こんなにうれしいことはありません。今年はさらに大阪でも開催する見込みです。

 テストは品質の最後のとりでであり、改善の始めの一歩です。人海戦術で徹夜を続けたり、リリース後に品質事故に苦しんでいるのであれば、是が非でも抜け出さねばなりません。JaSSTには現場の工夫やノウハウ、悩みがたくさん詰まっています。より良いテストを目指して、JaSSTでつかんだヒントを実践してみてください。

JaSSTの論文や発表、そして当日の質疑や議論は、すべて参加者の皆さんに提供していただいています。JaSSTを支えているのは現場のエンジニアやマネジャーの皆さんです。これからも現場に役立つシンポジウムを開催していきますので、ぜひ一緒にJaSSTを支えてください。どうぞよろしくお願いします。




 今回はJaSST'05の様子を通して、テストの話題や要求の問題などを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。本連載の初回から登場しているJaSST実行委員の面々は、本シンポジウムを通して、ソフトウェアテストの楽しさや奥深さ、開発における大切さを少しでも多くの方々にお伝えしたいと、ボランティアで頑張っています。

 テスト分野についてはテスト技術者交流会(TEF)といったコミュニティを通した情報展開や本記事のようなメディアを通したテスト技術の紹介など、複数のアプローチがすでになされています。テストに興味や感心を持たれた方は少しアンテナを伸ばせば、きっと有用なテストの情報にたどり着けることでしょう。

[JaSST 実行委員長(共同委員長) ]

古川善吾(香川大学)

西康晴(電気通信大学)

[実行委員]

秋山 浩一(富士ゼロックス)

池田 暁(日立ハイブリッドネットワーク)

大月 美佳(佐賀大学)

大西 建児(豆蔵)

大野 晋(SKサポートサービス)

片山 徹郎(宮崎大学)

加藤 大受(サイボウズ)

榊原 彰(日本IBM)

鈴木 太平(プラネット)

鈴木 三紀夫(TIS)

高橋 寿一(ソニー)

野村 絵里(JaSST実行委員会)

増田 聡(日本IBM)

松岡 正人(日本IBM)

湯本 剛(サイクス)

吉澤 智美(NECエレクトロニクス)

渡辺 隆(日本IBM)

和田 憲明(富士通)

敬称略(50音順)



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