文書管理システムはたくさんありますが、ここでは2つ紹介します。1つは、ファイルシステムにWebインターフェイスを追加したイメージになるWebFileSystemです。もう1つはWebインターフェイスを追加し、さらに文書タイプや検索などの機能を充実させたKnowledgeTreeです。
WebFileSystemは、Mozilla Public License 1.0で提供される文書管理システムです。
ファイルを登録するためには、以下のような画面からアップロードを行います。
登録すると以下のような一覧画面でファイルを共有することができます。
WebFileSystemではファイルのリビジョン管理や文書タイプ管理やトレーサビリティを確保することはできませんが、本連載の最終的な内容として、プロジェクト専用Webサーバで成果物管理のために利用することができます。
KnowledgeTreeは、GNUライセンスで提供される文書管理システムです。ファイルを登録するには、以下のような画面で文書情報を登録しアップロードを行います。
ファイルを登録すると、以下のような画面でファイルを共有することができます。
文書ファイルの情報は、以下のような画面で表示することができます。
この管理情報は、文書タイプごとにユーザーがプロパティを設定することができます。リビジョン管理の機能を持っており、その文書の状況を表示すると以下の画面のようになります。
トレーサビリティを確保するためにリンク機能を利用することができます。
この図では、Aシステム要件定義書.docにはRFPのスキャン画像というファイルがリンクされておりトレーサビリティを表しています。
ここでは説明しませんが、セキュリティ機能や文書ワークフロー機能も利用することができます。KnowledgeTreeはいろいろなファイルフォーマットをサポートした検索を行えることが特徴ですが、検索のインデックスを作成するIndexerが日本語に対応していないため、残念ながらその特徴を生かすことができません。しかし、フォルダ名やファイル名が日本語でも利用できるため、プロジェクト専用Webサーバで成果物管理をするために利用できます。
構成管理ツールの非商用ツールとして代表的なものは、CVSとSubversionでしょう。CVSはGPLで提供される構成管理ツールです。
SubversionはCollabNetが著作権を保持したままで、Apache/BSDスタイルのライセンスで提供されるフリーの構成管理ツールです。これらをサーバとして利用し、一方でクライアントは何を利用すればよいのでしょうか。CVS、Subversionに付属するコマンドラインを利用しても良いですがGUIベースの利用しやすいものを利用すると良いでしょう。いくつかご紹介します。
CVSのクライアントとしてはEclipse、WinCVS、TortoiseCVSなどが挙げられます。
・Eclipse
EclipseはCVSクライアントとしての機能を持っています。EclipseでCVSを利用する詳細については、以下の記事を参照してください。
WinCVSはGPLで提供され、Windowsアプリケーションとして動作するオープンソースのCVSクライアントです。かつて筆者も利用していましたが、いまは次のTortoiseCVSを好んで利用しています。
TortoiseCVSはGPLで提供されるオープンソースのCVSクライアントです。TortoiseCVSはWindows Explorerに統合されます。CVSリポジトリの作業コピーを作成したいフォルダで右クリックをすることでチェックアウトすることができます。TortoiseCVSの画面イメージは以下で説明するTortoiseSVNと同様です。TortoiseSVNを参照してください。
CVSを利用して成果物を管理する場合は、Wordなどで作成した文書ファイルはバイナリ情報として取り扱うように、cvswrappersファイルの設定を行って利用します。CVSではトレーサビリティを確保するための機能は提供されていません。
SubversionのクライアントとしてはSubclipse、TortoiseSvnが代表的なツールです。
SubclipseはCPLで提供される、Eclipseプラグインとして実装されたSubversionクライアントです。Subclipseの利用方法はCVSにおけるEclipseとほぼ同じです。
TortoiseSVNはGPLで提供されるSubversionクライアントです。TortoiseSVNはWindowsのExplorerに統合されます。Subversionリポジトリの作業コピーを作成したいフォルダで右クリックするとチェックアウトできます。作業コピーのフォルダは以下のような画面になります。
作業コピーが更新されるとリポジトリのリビジョンに不整合が起こります。その不整合を起こしたファイルは、以下の図のように赤い「!」マークで表現されます。
Subversionはバイナリファイルも取り扱うことができるので、成果物の管理にも適切です。ファイルのリビジョンに対してプロパティを設定できるのでその機能を利用してトレーサビリティを確保することができます。
前回と同様に、プロジェクト用のWebサーバを構築することを勧めます。今回の内容では、ファイル管理システムあるいは構成管理ツールのWebによるViewツールをこのサーバ上で動かすことになるでしょう。このサーバによって、前回の進ちょく管理に続いて、成果物管理を実施することができます。
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