自力で社内の埋蔵金を発掘するためのノウハウ公開!最先端BPM実践講座(3)(2/3 ページ)

» 2005年09月02日 12時00分 公開
[大川原文明,IDSシェアー・ジャパン株式会社]

埋蔵金を発見するための基本事項とノウハウ

基本事項1.業革リーダーの権限確認

 業革リーダーは、これまで各部門の責任範囲のはざまとなり、手が付けられていなかった谷間に入り込んでいくわけですから、各部門からの協力はもとより、決定事項を各部門長へ指示できる権限を与えられることが必須の条件です。

基本事項2.ツールの準備

 金脈を掘るには、それなりの道具が必要です。人手を集めてスコップで掘るのでは、いつになったら埋蔵金が掘り当てられるか、気が遠くなってしまいます。何より、(各部門に協力させることができる権限が与えられてるとはいえ)人手を集めることに、各部署から猛反発を食うことでしょう。ここでは、BPMツールを利用することをお勧めします。

基本事項3.スコーピング

 金脈は、収益をもたらす単位=ビジネスチェーン上に存在しています。すべてのビジネスチェーンを一気に掘り起こすことは、混乱のもとです。まずは、埋蔵金が眠っていそうな=会社の増収増益につなげなければならないビジネスチェーン(事業)を1本選択します。

基本事項4.進め方と体制

 準備3で選択したビジネスチェーンに対して、以下の(1)から(4)のステップを10日間で進めましょう。

(1)経営戦略の(再)確認と経営戦略にのっとったプロジェクト目標の設定

(2)ビジネスチェーンの大枠を作成

(3)(2)をたたき台にして、部門ごと2名(マネージャと実務担当者)を対象に、1回2時間のヒヤリングをする。この際、現状のビジネスの流れを部門間のプロセスの関係を意識しながら、課題(各部担当の生の声)とともに、BPMツール上で可視化していく。これを1部門当たり最低2回(必要に応じて3〜4回)繰り返す

(4)ある程度課題が抽出された時点で、その主要因を見極め、対策を検討する

 10日間のスケジュールサンプルを図5に示しました。業務改革対象となる部門のマネージャ/担当は、得てして忙しく時間が取れないのが常ですが、この進め方であれば、週2時間の負荷なので、緊急会議が入ったと思えば十分対応可能なはずです。

ALT 図5 業務ヒヤリングスケジュールサンプル

ノウハウ1.なぜマネージャと実務担当者が必要か

 地に足の着いた、実務担当者も納得する改革を実現するには、実務担当者から、日常業務において、他部門とかかわるプロセスをどのように処理しているのかをヒヤリングし、BPMツール上に忠実にモデル化する必要があります。ただし、実務担当者も他部門との関係を十分理解したうえで業務を行っているかというと、そんな余裕がないのも事実でしょう。そこを交通整理するために、マネージャの出席が必要です。

ノウハウ2.ヒヤリングのコツ

 ヒヤリングされる側は、「自分の業務の間違いを指摘されるのでは?」と、正直不安なものです。あるいは、「自分は最適に業務をこなしている」と、自信たっぷりの方もいらっしゃるでしょう。ヒヤリングの前に、ヒヤリングする側の意図を正しく伝えることが必要です。ここでは、冒頭に述べた金脈の話をしてあげると良いでしょう。「普段の業務について、とやかくいうつもりはないこと」や「普段なかなかいえないが、あそこの部門がああやってくれたら、もっと良くなるのに」といった普段の思いや不満を吐き出してもらいたいことをはっきりと最初に伝え、趣旨を理解してもらったうえでヒヤリングに入ることが重要です。

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