IT化人材のコアスキル、「問題発見力」を学べ!問題発見力勉強会

IT化の手段や方法はしばしば「ソリューション」と呼ばれる。経営や業務の問題・課題(プロブレム)に対する問題解決(ソリューション)という意味だ。問題解決をするうえ、さまざまなITの要素技術よりも重要なスキルがある。それが“問題発見力”だ

» 2005年10月06日 12時00分 公開
[秋池治(株式会社リアルナレッジ),@IT]

問題解決は、“真の問題”の発見がポイント

 情報システムは、本来業務上の課題や問題、もしくは経営上の課題や問題を解決することを目的として開発・導入されるものです。結果としてそれはERPの導入であったりCRMシステムの開発であったりするかもしれませんが、その根本には必ず“課題や問題の解決”があるはずです。ところが実際にシステムを導入したり構築したりするIT部門やプロジェクトチームが、その目的を正しく理解できないとしたら、システムの導入が“課題や問題の解決”に結び付かなくなってしまいます。

 システム開発における数々の問題は、開発の依頼者と開発側の問題認識のギャップに起因するものです。このギャップが開発の初期に双方で認識できればよいのですが、後ろにずれればずれるほど、その修正に多大な労力を必要とします。このようなことを防ぐ手だては、相手の問題を正しく認識することです。問題を解決できるか否かは“真の問題”を発見できるかどうかに懸かっています。的外れな問題を一生懸命解決したとしても、相手は満足してくれません。満足を得るためには、問題発見力を高め相手自身も気が付いていない“真の問題”を見抜き提示することで実現できます。このためITマネージャには問題発見力が重要なスキルとなります。

 問題解決力は問題発見力に依存しているので、問題発見力を強化することで問題解決力を強化できます。ここで「問題発見力は強化できるのか?」「強化できるとしても長い期間を要するのではないか?」といった疑問を持つ人もあるかもしれません。

 しかし、問題発見力はそのスキル要素を理解し、トレーニングを通して強化することが可能です。問題発見力のスキルは非常にシンプルですので、頭で理解することは簡単です。しかし、実務で使うには繰り返しのトレーニングが必要です。トレーニングはコツを押さえてステップバイステップで進めばそれほど難しくありません。誰もが必ずスキルアップします。

求められる新しいマネジメント手法

 情報システム領域のマネジメント、そしてプロジェクトマネジメントなどITマネジメントの期待される役割は組織やチームをマネジメントし目的を達成することです。しかし、これまでのマネジメント手法があまり効果を上げないなど、ITマネジメントが難しいことを実感している方も多いのではないでしょうか。

 なぜ、ITマネジメントが難しいのか? 答えはITマネジメントが旧来型の一般的なマネジメントとは、マネジメントの本質がまったく違っているからです。

 旧来型のマネジメントは、メンバーが決まった方法で効率よく仕事をするためのマネジメントです。例えば営業部門のマネジメントを考えてみましょう。メンバーは基本的に皆営業職ですから、同じようなスキルと行動パターンをすることになります。そのため組織には次のような特徴があります。

  • 単機能(単一または少ない機能で構成される)
  • 多人数(機能数は少ないが、各機能の構成人数は多い)

 つまり、いかに組織の効率を高めるかがマネジメントのポイントでした。これに対してITマネジメントには2つの大きな特徴があります。

ITマネジメントの特徴:1

 IT部門やプロジェクトの構成メンバーは、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストなどのいろいろな領域のスペシャリストから構成された複合機能型の組織である点が特徴です。

  • 複数機能(いくつもの細分化された機能から構成される)
  • 少人数(機能数が多く、各機能の構成人数が少ない)

 旧来型の特徴とは正反対の特徴を持っていることが分かります。この点からも旧来型マネジメントのような効率重視のマネジメント手法を取り入れても、組織力を高めることが難しいことが分かります。

ITマネジメントの特徴:2

 ITマネジメントには、もう1つ大きな特徴があります。プロジェクトはシステムの導入やシステム開発など有限期間で、毎回新たな案件(目標)を設定するという、まさにプロジェクト的な特徴があります。つまりルーチンの業務がないもしくは少ないともいえます。情報システム部門のプロジェクトを推進することも多いのでその特徴は共通しているといえます。

 この2つの特徴に対処するうえでも問題発見力が役立ちます。

 マネージャは、それぞれの領域でのスペシャリストであるメンバーたちよりその領域に詳しい知識や経験を有するとは限りません。そのような状況で成果を上げるためには、メンバーの力をいかに引き出すかが重要になります。メンバーの抱えている問題をいち早く吸い上げ、ともに対策を打つ先手・共同型マネジメントには、問題発見力が役立ちます。

 また、プロジェクト型の業務はルーチン業務と違い、常に新たな問題が発生する可能性があります。その意味で常にプロジェクト内の問題を見つけ解決するという役割が求められます。つまり、ITマネジメントの2つの特徴に対処するために問題発見力が大いに役立ちます。

編集部より

 そこで@IT情報マネジメント編集部では、「@IT勉強会:問題発見力勉強会」を企画しました。個人の問題発見力を強化するためのトレーニングを体験するとともに、問題発見力をマネジメントに生かし、チームを成功に導くためコーチングスキルとの連携も含めてITマネジメント力について実際に体験していきます。(募集は終了しました)

profile

秋池 治(あきいけ おさむ)

株式会社リアルナレッジ 代表取締役

横浜国立大学卒。メーカー系情報システム会社にてシステム企画とシステム開発に従事。その後、ユーザー系企業でデジタルビジネスの企画および社内改革に取り組む。2003年に数名の仲間とともに株式会社リアルナレッジを設立、業務プロセスの可視化やプロセスの最適化により、経験や勘に依存せず業務を遂行するためのパフォーマンスサポートを提供している。著書に「情報エキスパート」(アプライドナレッジ刊)がある。

e-mail:akiike@realknowledge.co.jp


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