連載
» 2005年11月22日 12時00分 公開

情報資産管理とバックアップポリシー(3):そもそもストレージって何だか分かりますか? (1/2)

現在の企業ではデータがあふれているほか、個人情報保護法の施行などでその扱い方が以前にも増して重要になってきている。前回まではそのデータをどのようにバックアップ/アーカイブするのかを説明した。今回はそのデータを保管・保存するハードウェアであるストレージシステムについて説明する。

[藤巻 敬久,日本ヒューレット・パッカード]

 本連載の第1回第2回では、増え続けるデータの現状や広がる法規制、これらのデータをどのようにバックアップ/アーカイブするかの話でしたが、今回はそれらのデータを保管・保存するハードウェア、ストレージシステムについての説明をしていきます。

そもそもストレージとは?

 ストレージ(ストーレッジ:storage)を辞書で調べると、貯蔵、保管とあります。情報・データが爆発的に増加している現在、ストレージはまさしくデータを貯蔵する保管庫といえます。一昔前までは、ハードディスクをはじめとするディスク装置は非常にサイズが大きく、高価な製品でした。また、その容量もいまでは想像できないくらい小さなものでした。現在では、企業で扱われるデータは大容量になり、データの持つ重要度も高くなってきています。

 この大きな技術的進化によって、ストレージはIT環境において非常に重要な位置付けに変化し、企業経営の根幹を支える製品となってきています。また、ストレージといってもさまざまな製品が市場にあります。一般家庭で使われるCD-RやDVD-Rから、ミッションクリティカルな環境で使われるディスク装置まで多岐にわたりさまざまです。今回はその中でも、主に企業で使われているハードディスクシステムとテープライブラリの2つの製品に焦点を当てて解説します。

ハードディスクシステムのストレージ技術

JBODとRAID 

 ストレージを代表する製品には、まずハードディスクドライブ(HDD)が挙げられます。HDDはPCに内蔵されていたり、コンピュータシステムの外部ディスク装置としてデータを保管するなど、IT環境において非常に重要な記憶デバイスです。近年、磁気記録技術は急速な進歩を遂げ、記録密度はこの10年間で約100倍になり、小型化・低価格化も驚異的に進んでいます。それに伴い、HDDをベースにしたストレージシステムもより高性能、低価格化が進んできています。現在、HDDをベースとしたストレージ製品としては、単なる外部ディスクとして使用する「JBOD(Just bunch of Disks)」と、コントローラを内蔵しディスクの冗長化を提供する「RAID(Redundant Array of Inexpensive Disk Drive)」システムの2種類に大別されます。

○JBOD----Just bunch of Disks

ALT JBODの例(写真)

 JBODはこの頭文字どおり、複数のディスクを1つに束ねただけのディスクシステムで、大容量のディスク環境を低コストで提供できるということから、中・小規模環境に適した製品といえます。

 単体で見た場合、冗長性を持たないので、ディスクに障害が発生すると、データの消失やシステムが停止する可能性があります。ただし、JBODを複数用意し、バスを分散させて構成することによって冗長性を持たせることも可能です(論理構成図)。

ALT 論理構成図

○RAID---Redundant Array of Inexpensive Disk Drive

 RAIDはハードディスクが持つウィークポイントを補い、より信頼性と性能を高めるために紹介された技術です。RAIDには5種類のレベルがあり、それぞれユーザーの要求レベルに合わせ使い分けすることができる点が特徴です。

RAIDレベルの説明:

  • RAID 0:複数のディスクに均等にデータを振り分け、同時並行で記録することで、データの読み書きを高速化する複数のディスクに均等にデータを振り分け、同時並行で記録することで、データの読み書きを高速化する
  • RAID 1:2台のディスクにまったく同じデータを同時に書き込む2台のディスクにまったく同じデータを同時に書き込む
  • RAID 2:ハミングコードと呼ばれる誤り訂正符号を生成し、データとともに分散して記録するハミングコードと呼ばれる誤り訂正符号を生成し、データとともに分散して記録する
  • RAID 3:複数あるディスクのうち1台を、パリティと呼ばれる誤り訂正符号の記録に割り当て、ほかのディスクにデータを分散して記録する(データ分散をビット単位で可能)複数あるディスクのうち1台を、パリティと呼ばれる誤り訂正符号の記録に割り当て、ほかのディスクにデータを分散して記録する(データ分散をビット単位で可能)
  • RAID 4:複数あるディスクのうち1台を、パリティと呼ばれる誤り訂正符号の記録に割り当て、ほかのディスクにデータを分散して記録する(データ分散をブロック単位で可能)複数あるディスクのうち1台を、パリティと呼ばれる誤り訂正符号の記録に割り当て、ほかのディスクにデータを分散して記録する(データ分散をブロック単位で可能)
  • RAID 5:データからパリティと呼ばれる誤り訂正符号を生成し、データとともに分散して記録する方式:データからパリティと呼ばれる誤り訂正符号を生成し、データとともに分散して記録する方式

 RAIDで実現可能なこととして、

  1. 1台のディスクに障害が起きてもデータが失われない
  2. 1台のディスクに障害が起きてもシステムが止まらない
  3. ハードディスクの台数に応じてパフォーマンスの向上が図れる
  4. 大容量ディスクの実現

 ただし、ストレージシステムの障害はHDDのみではなく、電源やコントローラといったほかの要因によるシステムへの影響を考慮したシステム設計が必要不可欠です。また、RAID構成をしているディスクシステムでは、ディスク増設などによるシステム構成の変更などが生じた場合、ハードウェアの追加だけではなく、RAIDシステムも構成変更などIT管理者が行う作業が生じることも考慮する必要があります。

 このようなシステム構成の変更や管理の手間、さらなるパフォーマンス向上を、仮想化技術を搭載することで実現したストレージ製品が、昨今では多く市場に出されています。

仮想化技術の発展

 「仮想化」技術は、さまざまなシーン(階層)で使われています。仮想化技術はそれぞれの階層で実装方法が異なりますが、複数のストレージやサーバなどをあたかも単一のデバイスであるかのように利用することで、リソースの共有、配分やアプリケーションの実行などを、利用者が意識せずに行えるようにする仕組みです。その結果、リソースの有効活用、負荷分散によるパフォーマンスの向上、柔軟なシステム運用など、下記のようなメリットを得ることができます。

仮想化のメリット

  • 容量:複数のストレージにデータを分散配置し、かつ全体を巨大なストレージプールとして利用できます。そのため、ストレージの使用効率が向上します複数のストレージにデータを分散配置し、かつ全体を巨大なストレージプールとして利用できます。そのため、ストレージの使用効率が向上します
  • 性能:複数のストレージにデータを分散して格納するので、格納する時間が短縮されます。データの取り出しも高速です複数のストレージにデータを分散して格納するので、格納する時間が短縮されます。データの取り出しも高速です
  • 拡張性:システムを停止することなく、設定変更や容量拡張が行えますシステムを停止することなく、設定変更や容量拡張が行えます
  • 管理:単一のストレージとして扱えるため、データのコピー(スナップショット)を効率よく管理することができます単一のストレージとして扱えるため、データのコピー(スナップショット)を効率よく管理することができます
  • 耐障害性:ディスク障害時にもRAID再構成を自動実行するため、迅速な最適化が可能ですディスク障害時にもRAID再構成を自動実行するため、迅速な最適化が可能です

 例えば、運用時(容量を拡張する場合)のメリットとして、従来のディスクアレイでは、運用中にストレージを追加する場合、従来はストレージシステムの再構成が必要で、データのバックアップとリストアはもちろん、長時間のシステム停止が避けられませんでした。

ALT 従来のディスクアレイ

 一方、仮想化技術を搭載したディスクアレイでは、仮想化機能を利用すれば、運用中にストレージ容量を拡張する場合、必要なディスクを追加して論理ボリュームに割り当てるだけです。LUN(Logical Unit Number)を変更することなく、容量の拡張が可能です。また、構成変更に伴うサーバの再起動が不要で、拡張されたストレージ空間は即時に利用可能です。

ALT 仮想化技術を搭載したディスクアレイ
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ