連載
» 2005年12月09日 12時00分 公開

自己組織化プロジェクトの育て方(1):プロジェクトを管理しないという発想 (1/4)

 混乱するプロジェクトを1から10までガチガチに管理するのではなく、うまくいくようにそっと手を貸してやること。そんな発想の転換が実はいまどきのプロジェクトを上手に運営するコツなのかもしれない。本連載では「自己組織化」という概念をプロジェクト運営に応用するノウハウをお伝えする。(@IT編集部)

[山根圭輔,アクセンチュア]

1. プロローグ〜大火事プロジェクトの火消し役が計画した、あるひそかな実験

 昨年、火が付いたプロジェクトに火消しマネージャとして参画することになりました。チームメンバーは連日の徹夜で疲弊し切っていました。マネージャ陣との信頼関係すら怪しい状況でした。クライアントからは怒声が飛び、連日のように詳細な進ちょく状況報告を求められます。報告作業自体が開発スケジュールを圧迫していました。データベースのテーブル定義でもめている段階なのにもかかわらず、カットオーバー予定日は目前に迫っていました。タフな判断と徹夜の作業が続くことが容易に想像できました……。

 こんな状況を打開するため、私はある実験を試みました。『プロジェクトを自己組織化させる』という実験です。プロジェクトの混沌状況は、この実験を行うのにうってつけともいえました。

 ……そして、あれから1年が過ぎました。プロジェクトは無事にカットオーバーを乗り切り、いまは運用フェイズに入っています。非常に高い運用安定性を誇っており、クライアントからの信用も復活しました。どうやら、今回の実験は成功したようです。つまり、『プロジェクトが自己組織化した』状態になったわけです。この段階ではもうプロジェクト管理者としての自分の役割はほとんどなくなりました。

銀の弾丸か? それとも偶然か?

 これから、数回にわたって紹介していく内容は、この『自己組織化』という耳慣れない言葉と、プロジェクトマネジメント(=プロジェクト管理)を結び付けていくものです。結論からいってしまえば、この試みは『銀の弾丸』とはいえません。それどころか、当たり前に感じるようなことだったり、一般に『アジャイル開発』や『プロジェクト・ファシリテーション』と呼ばれている内容だともいえます。また、海外では『適応型ソフトウェア開発』として、ジム・ハイスミス氏が提唱している内容とも通じます。

 ただし、この『自己組織化』という新しい概念を通して世界を見渡すと、これまで当たり前だといって済ませていたり、経験則から何となく活用してきた方法論が、1つの大きなつながりを持っていると感じられるはずです。自然科学や社会学、そしてコンピュータ科学など、さまざまな分野から多面的に解明されつつある『自己組織化』の概念を知ることは、新たなプロジェクトの段階、例えていうならば、『プロジェクト2.0』に向かう大きな道しるべになるでしょう。

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