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» 2006年01月28日 12時00分 公開

コミュニケーション・ツールの活用事例(同期型編)企業コミュニケーションとツール活用法(4)(1/2 ページ)

前回に続いて、各種のコミュニケーション・ツールの活用方法や事例を紹介していく。今回はリアルタイム型(同期型)のコミュニケーション・ツールを考察する。

[長谷川玲,リアルコム]

 本連載第2回で紹介したコミュニケーション・ツールの分類のうち、今回扱うのは右半分の[C][D]部分──「リアルタイム型(同期型)」である。

ALT 図1 コミュニケーション・ツールの分類

 前回「蓄積型編」で取り上げた蓄積型と同様に、リアルタイム型においても、「コミュニケーションが1対1で行われるか複数か」あるいは「発信者が受信者をどの程度特定しているか」という観点から、さらに2つにカテゴライズできる。より相手を特定している方をカテゴリ[C]、あまり特定せず不特定多数に対して発信したり、複数の人間でのコミュニケーションを想定したりしているものをカテゴリ[D]と分類した。カテゴリ[C]では電話やインスタント・メッセンジャー(以下、IM)が、カテゴリ[D]ではWeb/TV会議が代表的なツールである。前回同様、活用事例を紹介するに当たっては電子メールと比較している。

 「リアルタイム型(同期型)」コミュニケーションにおいては、メッセージのやりとりはリアルタイムに行われ、発したメッセージはすぐに相手に届く。相手がそのツールを使っていない、使える状態にない場合にはメッセージを伝えることができない(発信そのものができないこともある)ため、相手の状態(プレゼンス)の確認が必要になる。IM、IP電話あるいは携帯電話など、プレゼンスを確認できるツールやデバイスが増えてきていることからも、リアルタイムのコミュニケーションが望まれる傾向にあるのかもしれない。

カテゴリ[C]の事例− インスタント・メッセンジャー

 インスタント・メッセージング(以下、IMing)とは、ユーザー同士がインターネット上で会話したり、ファイルを転送したりすることをいう。基本的にコミュニケーションを取る双方は、同じアプリケーション・ソフトウェア(IM)を利用しなければならないが、一部に異なるソフトウェア同士でも利用可能なものもある。

 IMの特徴の1つに「プレゼンス」の確認ができることがある。これは電子メールやグループウェアのように、送信者は受信者の都合を考慮することなくメッセージを送信しておき、受信者は任意の時間にその内容を確認するタイプのツールとは根本的に異なる特徴である。

 また、IMは同時に複数の相手とそれぞれ別のテーマでメッセージをやりとりすることもできる。すなわち、「N対N型」のコミュニケーションである。つまり、Aさんと明日の会議の時間を調整しながら、Bさんと資料作成の締め切りについて相談するといったことができるわけだ(システム的に可能という意味である)。これが電話になると、さすがに1つテーマの内容しか扱えない。

 ところで、IMの利用というと業務や社内コミュニケーションのためのツールというよりは、むしろ家族や友人とのチャットを楽しむといったプライベート・ユースをイメージする人が多いのではないだろうか。企業内利用が少ないのは、「ビジネスでの利用法が分からない」「セキュリティ面での不安がある」など理由があるかもしれない。あるいは「電話と違って周りに会話内容を聞かれることがないため、私的利用により業務効率が低下する」「ファイル転送によって機密情報が漏れる」「業務に関係のないファイル転送でネットワークに負荷が掛かる」など、問題点を考えればきりがない。

 しかし、ビジネスにIMがまったく使われていないわけではない。すでにIMを採用している企業の活用法を紹介しよう。

 PC1人1台環境が整備されており、PCの前で仕事をすることが多いという業界や職種では、活用度は高いようである。IT業界、メディア、編集・コンテンツ制作といった業界においては、打ち合わせの時間設定や会議への呼び出しといった連絡に使ったり、仕様書などの資料内容を詰めていく際、相互に質問・意見・確認に利用したりする例が見られる。異なる拠点で、あるいは同じビル内でも別フロアだったり席が離れている人とコミュニケーションを取る場合には特に有効だが、システム導入の現場に常駐していたり、外出しがちな人と連絡を取り合いたい場合にも便利である。

 なお資料の修正に関して補足すると、電子メールで校正ファイルをやりとりするよりも、IMで密度の濃いコミュニケーションを取りながら、その場で資料を作成・修正できれば、最終的な解決までの時間短縮が見込める。

 興味深い事例としては、ヘルプデスクやコールセンターなどでの活用例だ。先述のとおり、IMingではN対Nのコミュニケーションが可能だ。ほかの作業をしながら相手の返事を待つ(複数人を同時に相手する)ことができるため、サポート業務において作業効率が向上する。

 話を聞いた企業では、実際に電話だけでなくIMによる顧客サポートを行っているそうだ。電子メールでもサポート業務は可能ではあるが、その場合「状況はこうなのでこうしてください」とある程度長い文章を書いて伝えなければならない。IMならば通常の会話のように短いメッセージをリアルタイム(電子メールより短いタイムラグ)でやりとりするため、相手の応答によって臨機応変な対応ができる。また、サポート担当者が顧客からの質問に答えられない場合、電話だと相手を電話口でただ待たせることになる(しかも回線をふさいだままである)が、IMならば担当者はしばらく待ってもらうように返信しておき、その間に電話ないしIMでエスカレーション(上位担当者への問い合わせ)すればよい。その間もオンラインなので、顧客も「つながっている」という安心感があり、別の角度から質問や報告をすることもできる。コールセンター全体では「電話が込んでいてつながらない」というクレームも減るかもしれない。

 最後に少々特殊なケースだが、もう1つ活用事例を紹介しておく。IMを業務上なくてはならないものとして最も活用しているのは、恐らく金融業界におけるディーラーだろう。1分1秒で巨額の損益が発生する世界では、リアルタイムでの情報入手が必要になる。電子メールや電話でのやりとりは、もはや「スピードが遅い」のである。IMで売買指示を出すこともあるという(ただし、正式な売買指示システムは別に用意されている)。

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