汎用グラフィカルモデリング言語「SysML」 パート1: 要件、ユースケース、およびテストケースのモデリングThe Rational Edge(1/3 ページ)

The Rational Edgeより:3回にわたってお送りする本シリーズの第1回では、まず製品・システム開発用の汎用グラフィカルモデリング言語であるSystems Modeling Language(SysML)の概要を説明する。パート1ではSysMLの要件、ユースケース、およびテストケースの各ダイヤグラムを解説する。

» 2006年09月22日 12時00分 公開
[Laurent Balmelli博士(IBM T.J. Watson東京研究所 リサーチスタッフメンバー),@IT]

 製造企業は、今日ある競争圧力などの各種市場要因を受け、製品やシステムの設計および製造の効率改善に追われている。製品ライフサイクル全体を通じて効率が著しく欠如していた分野が、機能アーキテクチャ(そして、場合によっては物理アーキテクチャも)を決定するコンセプト段階だ。

 顧客のニーズを製品の機能やユースケースに変換した後で、なおかつエンジニアリング分野(機械、電気、ソフトウェアなど)全体においてこれらの機能設計前に来るのがコンセプト段階だ。製品のコンセプト段階で十分な支持を得ることができないと、製品の要件実現過程を効率的にトレースすることは難しくなる。コンセプトの正式な描写がないと、実行性の調査中などに、製品のシステムレベルで適切な判断を下せなくなる。さらに、製品アーキテクチャに対する明確なビジョンが欠如していると、チームの理解とコミュニケーションが妨害されるようになり、これが統合問題のリスクを高めるようになる。SysMLが緩和しようとしているのが、製品やシステム開発のコンセプトフェーズで直面するこのような課題なのだ。

 本稿では、SysMLの基本的な目的と価値について解説し、Unified Modeling Language(UML)と関連付け、その要件ダイヤグラム、ユースケースダイヤグラム、およびテストケース描写について説明する。そして、第2回以降ではSysMLの構造ダイヤグラムや動作ダイヤグラムのほか、そのアロケーションメカニズムをカバーする。また、SysMLで利用可能なすべてのダイヤグラムに加え、各ダイヤグラムと関連する構成体の大半についても本稿全体を通じて見ていく。本稿では、自動車用の雨滴検知ワイパーという組み込みシステムの詳しい実例を活用して解説を行う。

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