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» 2006年10月28日 12時00分 公開

CMSビジネス活用術(3):Web/印刷をコスト改善するマルチパーパスCMS構築 (1/2)

WebサイトのためだけにCMSを構築するのはもったいない。社内のコンテンツを一元管理することで、さまざまな目的に応用することができるのだ。

[デジタルアセット研究会,@IT]

 第2回「企業にとって資産となるWebサイトの作り方」では、カタログ印刷物の情報をそのままデジタルコンテンツに流用したために、Webサイト訪問者が戸惑ってしまうケースを紹介した。今回は、印刷物とWebのコンテンツをマルチパーパスに利用できるようにすることで、印刷コスト削減などのメリットを得る方法について考察を加えていく。

コンテンツの粒度がキーポイント

 WebサイトをCMS化する際の極めて重要なポイントに、「デジタルコンテンツの粒度をどうするか」がある。粒度というのは、“1つのHTMLファイルとそこに表示されるイメージファイル”を1つのものとして扱う場合と、それぞれ別のものとして扱う場合──というようなコンテンツ管理の単位の違いのことである。

 この粒度を業界で決めているところもある。例えば、新聞業界のNewsMLや、医療業界の電子カルテのMedXMLなどである。これらは主として業界内でコンテンツの流通を行うために、規格化されたものである。

 日本経済新聞社のニュース編集配信システムの事例を例に、コンテンツの粒度を見てみよう。

 上の参考リンク先の事例記事によると、管理の基本単位は“記事”(NewsItem)で、この粒度で文章や写真などの実データを管理している。実データに加えて、権利情報やフォーマットといったメタデータも記事に対して付与される。

 新聞という紙の媒体は“ページ”という単位を持つ。この考え方をそのままデジタルに持ち込むと、管理単位が大きすぎて各種の利用・展開が難しくなる。

 例えば、新幹線の車内電光ニュースにコンテンツを流用しようとした場合、新聞のページ単位でしか管理されていなければ、“今日の1面”の記事を丸ごと(えんえんと)電光ニュースに流すことになる。それに比べて記事単位で管理されていれば、“今日の記事から3本”というように再利用しやすい。コンテンツが多目的に利用できるようになっていれば、新聞社としても1つのコンテンツを多方面に売る可能性が増えるため、ビジネス的にプラスであることはいうまでもない。

 一般企業向けにはNewsMLのような規格はないが、自社に最適な粒度を考えることは極めて大切だ。Webサイト構築で有名なキノトロープは、CMSを導入するに当たり、コンテンツの粒度をどの程度にすると利用価値が高まるかを考察し、それを検討・決定するというプロセスが不可欠だと主張している。

 同社のプロセスではCMS導入に5つの設計書を使うが、その1つに「アセット設計書」がある。このアセット設計書を作る作業とは、CMSの基本設計で切り分けを行ったコンテンツをCMSがどのように管理するかを定義し、入力した情報がCMSによってどのページのどこに反映されるかを決めるプロセスだという。

コンテンツの親子関係などの定義

 コンテンツの粒度を確定したら、そのコンテンツがどのカテゴリに属するか、あるいはほかのコンテンツとどのような関係にあるかなど、コンテンツ構造を考えていく。コンテンツ構造(それを表すメタデータ)は、コンテンツを有効利用するために重要な情報である。

 例えば、ある通販サイトではコタツを取り扱うに当たり、夏は「家具調コタツ」として販売し、冬は「暖房器具」として販売したかった。このとき、コタツを夏は「家具カテゴリ」、冬は「暖房器具カテゴリ」に属するものとして扱うことにより、サイト上にコタツコンテンツ(商品情報)が表示されるとき、関連商品として夏はソファーやいす、冬はコタツ布団を表示するようにした。ソファーやいすは「家具カテゴリ」、コタツ布団は「暖房器具カテゴリ」に属するからだ。

 あるいは商品情報を「商品名」「型番」「価格」「説明文」からなるものとしたとき、「説明文(ダイジェスト版)」を用意しておけば、「商品名」「型番」「価格」「説明文(ダイジェスト版)」を表示することで、携帯サイトにも同時配信できるようになる。

 このようにコンテンツの粒度を決め、コンテンツの属性や構造を定義しておくことで、1つのコンテンツをWebサイトの中でマルチパーパスに活用することができる。コンテンツの構造をきちんと設計してCMSを導入すると、PCサイト用と携帯サイト用に「商品情報」を何度も入力するといったことなしにサイト全体にコンテンツの公開・更新を行うことができるわけだ。

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