学生症候群(がくせいしょうこうぐん)情報システム用語事典

student syndrome / 学生シンドローム

» 2006年12月06日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 納期のある作業を行う際に、余裕時間があればあるほど、実際に作業を開始する時期を遅らせてしまうという、多くの人間に見られる心理的行動特性のこと。

 人間は、やるべき仕事に時間的な余裕を感じると、「後でやっても間に合う」と考えてしまい、すぐに着手しないことがよくある。TOCの提唱者であるエリヤフ・ゴールドラット(Dr. Eliyahu M. Goldratt)は著書『Critical Chain』の中で、これが余裕時間(セーフティ)があるにもかかわらずプロジェクトが遅れる要因の1つだと指摘した。学生症候群という名は、同書でこのような着手の先延ばし現象を「期間が足りないと主張して提出期限を延ばしてもらったのに、すぐには宿題を始めない学生」になぞらえて説明したことに由来する。

 学生症候群が発生すると、計画上は余裕時間が十分に取られていても、実際の作業は余裕のない状態で行うことになるので、何らかの突発事態が発生した場合、納期遅延に直結する。また、余裕時間を十分に取ったスケジュールでは、納期確度(納期が守られる確率)も高く見積もられていることが一般的であるため、後工程でも遅れを想定していないことも多く、プロジェクト全体に甚大な被害を与えることになりがちである。

参考書籍

▼『クリティカルチェーン――なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?』 エリヤフ・ゴールドラット=著/三本木亮=訳/津曲公二=解説/ダイヤモンド社/2003年10月(『Critical Chain』の邦訳)

▼『ザ・キャッシュマシーン――儲け続ける仕組みをつくれ!』 リチャード・クラフォルツ、アレックス・クラーマン=著/三本木亮=訳/ダイヤモンド社/2005年12月(『The Cash Machine: Using the Theory of Constraints for Sales Management』の邦訳)


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