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» 2007年04月19日 12時00分 公開

The Rational Edge:プロジェクトのはじめに計画を立てるのは無謀/プロジェクトの状態を評価する:パート1(前編) (1/2)

The Rational Edgeより:一般的に、プロジェクトマネージャが基準として評価するものにチームは注目する。プロジェクトの状態が正確な評価基準に依存するのは自然なことだが、適切なものを評価することの必要性はもっと重要だ。

[Kurt Bittner,IBM新技術プログラムディレクター]

 大半の組織では、各種アプローチのパフォーマンスや有効性を評価するためにさまざまな形で評価値を利用している。評価値のないものは、順調かどうかを判断するための主観的な意見にすぎない。評価値は必須なのだ。だが、評価値には用心が必要で、リソース利用率の有効性を実際に知りたい場合は産出量(生産性)の増加を評価するように、多くの場合、本当に知りたいものを直接評価することはできない。

ALT 本記事は、IBM developerWorksからアットマーク・アイティが許諾を得て翻訳、転載したものです。

 評価値にはもっと難解な面もある。人は評価するものに注目し、評価されるものが重要だと仮定する。評価値が直接価値に結び付かなくても、評価が行われると考える分野のパフォーマンス向上に努めていく。カギとなるのは受け止め方だ。マネージャは、1つのことを公然といいながら評価値を通じて別のことを強調し、言葉に出した目的を事実上台無しにすることがある。評価値は、評価されているものが有意義であることを暗示する。

 ポイントになるのは、人は評価値を見て重要なもののヒントを探すということだ。彼らはこの情報を分析し、評価を指示している人が望むと思うことを実現すべく、自分たちの行動をしばしば変える。「プロジェクトの進ちょくはどうか?」と聞かれたときに彼らが聞きたいと思う回答をしたり、残業が良いこと(「hero culture」の兆候であることが多い)もしくは悪いこと(予想より長時間働くのはプロジェクトが問題を抱えた兆候である場合が多い)と考えて、実際の作業時間より多く、あるいは少なく申告したりと、この影響はさまざまな形で表れてくる。

 予期せぬ評価結果を招かないようにする最良の手段は、評価しているものとその理由を完全にガラス張りにすることだ。だが、それにはプロジェクトの目標と、評価値がどのようにプロジェクトの目標に関連するのかを完全にガラス張りにする必要がある。

 本稿は、反復ソフトウェア開発のライフサイクルにおける評価を解説するシリーズの第1弾である。まず、従来のソフトウェアプロジェクト評価基準に関連するいくつかの誤った考えを解説し、それから「方向付け」フェイズにおける有効な評価に焦点を当てる。そして、続編で「推敲」「構築」、および「移行」の各フェイズにおける評価をカバーしていく。

評価値と目標

 評価するものを決める前に、まず何が重要かを決める必要がある。大半の組織は3つの分野に分類される目標に焦点を当てる。

  • 最低レベルの機能と、一定レベルの品質およびコストを条件としたソリューション投入までの時間短縮(製品化に要する時間)
  • 最低レベルの機能と、一定レベルの品質、そして通常は製品化に要する時間に関する制約を条件としたコスト削減
  • 最低レベルの機能や、製品化に要するコストと時間の制約を条件とした品質向上

 プロジェクト管理の本質は、これらの代償を許容可能な方法で管理して望ましい結果を得ることだ。そのためには、4つの分野でターゲットを設定する必要がある。大半のプロジェクトはコストと時間を評価するが、意図と品質がコストと時間に影響するので、これも評価する必要がある。実際、プロジェクトの成功を測る評価値に含めるものはコストと時間だけでは不十分だ。引き渡すソリューションは何か有益なことをする必要があり(意図)、許容できる品質でそれを実現しなくてはならない。

◆ 変動と目標

「予測はかなり難しい。未来に関するものなど特にそうだ」

          -- Niels Bohr

 目標は予言のようなものだ。それは、将来のある時点における成功を構成する声明である。現実では目標に到達しないかもしれないが、幸運なら目標を上回るかもしれない。プロジェクトの結果は統計用語でいうところの確率変数であり、目標はこれらの確率変数の推定理想値である。

 確率変数について覚えておきたいのは、実際の意見は平均、あるいは平均値に焦点を当てていることだ。分布の幅は「変動」と呼ばれ、実測値と平均値の差を示す。対称分布では、平均値の上下均等に値が来て、最も可能性の高い値である「最頻値」は平均値と同じになる。図1は典型的な正規確率密度関数で、大半の評価結果がこのような分布になるためこう呼ばれる。

ALT 図1 実測値と想定値(もしくは平均)の間に幅のある可能性を示す正規確率密度関数

 目標についてよくある大きな間違いの1つが、期待値(平均値)の達成という1つの値しか目標に指定しないことだ。しかし、現実は可変であり、これを加味するにはパフォーマンスを許容範囲と見なす目標の公差を設定する必要がある。これは、許容範囲と見なす変動の検討を余儀なくし、重要な分散には焦点を当てつつ、関係のない変動の最小化を不必要に重視することを防ぐ有益な作業だ。

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