3Cモデル(すりーしーもでる)情報システム用語事典

3C's model / 3C's framework / 3C分析

» 2007年05月30日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 経営戦略の立案などを行う際に用いられる環境分析フレームワークで、自社(corporation※)、顧客(customer)、競合相手(competitor)の3つの視点で分析を行う方法のこと。古典ともいえる分析手法で、マーケティング分野でもしばしば用いられる。日本では「3C分析」と呼ばれることが多い。

 顧客分析では、顕在・潜在顧客の購買意思や能力を把握する。具体例としては、市場の規模、顧客特性(セグメント)、市場の成長性、各種のニーズ、購買過程などを検討する。法的規制などを考慮しなければならない場合もある。

 競合分析では、顕在・潜在の競争状況や競合他社について把握する。具体例としては、競合相手の数(寡占の度合い)、市場への参入難易度、技術動向、製品・サービスの価格帯、競合他社の生産・販売・財務・技術開発などに関する能力といったことに注目して検討を行う。

 自社分析では、自社の経営資源・能力について把握する。具体的には、自社の市場ポジション、収益性、評判やブランド、生産・販売・財務・技術開発などに関する能力といったことを分析する。付加価値や利益、コストなどの構造についても把握しておくとよい。

 これらの分析を通じてKSF(成功要因)を見つけ出し、自社が次に打つ手――戦略を立てていくわけだが、顧客分析、競合分析、自社分析のどれを中心に据えるかによって、導き出される戦略は異ってくる。

 3Cは分りやすく、語呂もいいためか、さまざまな拡張バージョンが存在する。流通・卸売・代理店(channel)、費用(cost)、状況・文脈(context)、協力関係(collaboration/cooperation)などを加えた、4C分析や5C分析などが提案されている。

 3Cコンセプトのオリジナルを考案したのは経営コンサルタントの大前研一で、その英文著作『The Mind of the strategist: The art of Japanese business』(1982年)によって広く世界に知られるようになった。同著では、「およそいかなる経営戦略の立案に当たっても、三者の主たるプレーヤーを考慮に入れなければならない」として、立場の異なる三者の視点で分析を行って戦略を立案する方法と効用を解説し、この三者の相対的で相互に影響し合う関係を「戦略的三角関係(strategic triangle)」と呼んでいる。

 なお、大前は『The Invisible Continent』(2000年)から、新しい経済領域(サイバー経済、マルチプル経済、ボーダレス経済)の出現により、戦略の3Cは通用しなくなったと主張するようになっている。

※ 一般に自社を表すCは「company」と紹介されることが多いが、「The Mind of the strategist」では「corporation」となっている。

参考文献

▼『企業参謀――戦略的思考とはなにか』 大前研一=著/ダイヤモンド・タイム社/1975年

▼『ストラテジックマインド――変革期の企業戦略論』 大前研一=著/田口統吾、湯沢章伍=訳/プレジデント/1984年1月(『The Mind of the strategist』の邦訳)

▼『大前研一「新・資本論」――見えない経済大陸へ挑む』 大前研一=著/吉良直人=訳/東洋経済新報社/2001年11月(『The Invisible Continent』改訂版の邦訳)

▼『大前研一 新・経済原論』 大前研一=著/吉良直人=訳/東洋経済新報社/2006年9月(『The Next Global Stage』の邦訳)


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