前回はUMLのアクティビティ図でビジネスワークフローを表現する方法を説明したが、最近ではBPMNという表記法が使われることも多い。引き続き洋菓子店のケースを用いて、BPMNの使用例を示す。
UML(注1)でビジネスワークフローを表現する場合、前回も紹介したとおりアクティビティ図を使用します。その一方で、最近ではビジネスワークフローを表現するためにBPMN(注2)という表記法が使われることも多いようです。
どちらも同じようにビジネスワークフローを表現することができます。BPMNは表現のバリエーションやツール(特に簡単なシミュレーションを行うツール)などが順次発表され、ビジネスワークフローを表現する表記法として主流になりつつあります。BPMNはビジネスのシーンをイメージしやすいため、特にビジネス寄りの人に多く使われているようです。
われわれが提唱しているビジネスモデリングの方法論では、ビジネスワークフローをアクティビティ図で表現しますが、アクティビティ図でなくてはならないということはありません。BPMNを使っても何ら支障はありません。
BPMNが策定された目的の1つに、ビジネスを分かりやすく見える化することがありました。前回も説明しましたが、ビジネスワークフローだけではビジネスの見える化は不十分です。そのためにBPMNは、ビジネス分析モデルの概念も一部含んでいます。しかし、BPMNはビジネスプロセスを可視化するための表記法の1つであり、我々の方法論が目指す、もっと広い意味での「ビジネス全体の見える化」とは目的が若干異なります。そのため、BPMNだけでわれわれが目指すビジネスの見える化を達成することは困難です。ただし、ビジネスワークフローだけでビジネスを最大限見える化することができる表記法、とはいえるでしょう。
アクティビティ図も、UML 2.0以降はBPMNに近い表現ができるようになりましたが、やはりビジネスを見える化するには十分とはいえません。ただしわれわれの方法論では、この時点ではまだビジネスの完全な見える化は求められていません。ここではアクティビティ図・BPMNのどちらであれ、ビジネスワークフローが表現できれば十分です。
さて、それではアクティビティ図とBPMNを比較しながら説明していきます。下図は前回も取り上げた「洋菓子を販売する」というビジネスワークフローをアクティビティ図を使って表現したものです。
上図をBPMNで表現すると以下のようになります。なお、BPMNに関してここでは詳細に説明しませんので、詳しく知りたい方は以下の記事などを参考にしてください。
参考記事
BPMNを活用したビジネスプロセス・モデリング(@IT情報マネジメント)(@IT情報マネジメント)
アクティビティ図の表現から、若干の変化があることに気付かれると思います。逆にこの表現をアクティビティ図に適用すると、以下のようになります。
アクティビティ図ではレーン※編注同士が協調動作をしているのに対して、BPMNはレーンごとにプロセスが独立している点に注目してください。BPMNでは、独立したプロセス間でメッセージをハンドリングすることで協調動作をするようになっています。ビジネスワークフローだけではなく、ビジネス分析シーケンス図の要素も一部含んでいるといえます。
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