BPMプロジェクト成功の鍵[6] - 継続的改善活動BPTrends(14)(1/2 ページ)

BPMプロジェクトは、継続的改善を組織に根付かせる活動だ。そのために必要な作業と心構えを解説する。

» 2007年09月20日 12時00分 公開
[著:デレク・マイヤー, 訳:高木克文,日本能率協会コンサルティング]

ステップ8:BPMスイートにおけるアプリ開発とプロトタイプ作り

本稿は、米国BPTrends.comからアイティメディアが許諾を得て翻訳、転載したものです。

 プロセスを理解し改善機会を発見するためのさまざまのステージを乗り越えれば、次の課題はアプリケーションの開発と実装である。これは、その印象ほどに困難なことではない。プロセスを理解し、そのプロセスが新しい環境下で発揮する機能を明確に描きさえすれば、選定したBPMスイート上でのプロセスモデル構築は、本来、容易に取り組める作業である。

 プロトタイプ評価には、再び事業部門を参画させること。相互間の期待ギャップの発生を防止するためだ。これに数日しかかけないプロジェクトもあれば、数週間を費やすプロジェクトもある。関連ビジネスライン内のマネージャと従業員に対しプロトタイプのデモを行い、積極的に彼らのフィードバックを引き出す。大切なのは、積極的に聞き、そこで得たヒントや提案の1つ1つを次のプロトタイプに組み込むことだ。

 BPMアプリケーションは反復性という特徴を持つ。従って、あらゆる機会をとらえ、継続的に、その性能の最適化に努めること。これが、もう1つの重要な点である。

 さらに、プロトタイプ作成の過程には、積極的関与(バイイン)とソリューション・オーナーシップに対する覚悟をユーザーに持たせる、というメカニズムがある。当初に提示されたソリューションに自分たちの提案が付加されることが分かれば、運用開始後もシステムの継続的適合性改善を自主的に推進しようという、ビジネスライン関係者の意欲が高まるであろう。

 これを支援するための方策として、BPMスイートに包括的なシミュレーション機能を装備し、実装と運用に先立ち、より優れたプロセス分析が行えるようにしておくことが重要である。

 分離したスタンドアロンのプロセスモデリング・リポジトリを用いている場合には、1つの問題点が生じる。通常、プロセスモデルをエクスポートしBPMスイートにインポートする作業が、単純な作業ではなくなるのだ。このことをよく理解しておかなければならない。

 この条件下でBPMスイートのメリットを引き出すには、ほとんどの場合、(モデリング・リポジトリからエクスポートされた)プロセス定義にかなりの付加作業を伴う。一般的には、バックエンド・アプリケーションと関連コンテントを統合し、内部のディレクトリ・サーバ(あるいは、それに相当するBPMスイート内のメカニズム)とのリンクを装備することが、その作業内容となる。

 さらに、運用中に発生したモデル変更情報がモデリング・リポジトリ内で消失され、その後のプロセスの忠実度を損なう事態になろう。すでに述べたように、BPMスイート内の完全に統合された(インライン)プロセスであれば、この問題は起きない。

ステップ9:組織改革の実施と整合化

 組織改革とそれに関連する役割・職務の変更は、同時に、かなりのプロセス変更を伴う。すべての組織改革についていえることだが、自然に抵抗が発生することは必定であり、その対策を周到に計画し解決していかなければならない。組織開発専門のプロをプロジェクトチーム・メンバーとして加えることも有益であろう。

 その基盤として必要なカルチャー改革を促進するには、新たに求められる基本的役割と行動を明確に示さなければならない。プロセスそのもの、自身が果たすべき新しい役割、および他者が果たすべき役割に対する関係者の理解を得るのだ。そのための一手段として、RADsが役立つ。また、RADsは、彼らの視野を直接かかわるアクティビティに閉じ込めず、顧客視点にまで拡張させるうえでも有用であろう。

 教育訓練は変革の促進剤として重要な位置を占めるが、その計画には慎重さを要する。多くの企業では、その教育訓練予算をプロジェクト経費として計上していない。教育訓練の効用は、あくまで人材の養成だからだ。

 また、適切なメッセージが適切な相手に確実に届くようにするには、コヒーレント通信(※4)計画が必要である。

※訳注4:コヒーレント通信=さまざまの手段間に整合性を持たせた通信制御

 最後に、業務遂行実態の定期的モニタリングとレビューを通じ、設定したベンチマークと対比したパフォーマンス評価を行うことが重要である。これにより、マネージャたちは、課題が問題に発展する前にそれらを把握し、さらなる改善とパフォーマンス向上に取り組むことができる。また、ビジネスラインの関係者を、基盤プロセスモデルの試行に駆り立てるに違いない。それにより、ビジネスニーズの変化に対応するためのイノベーティブな方法を探ることができるからだ。

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