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» 2007年10月24日 00時00分 公開

情報マネジメント用語辞典:グリーンコンピューティング(ぐりーんこんぴゅーてぃんぐ)

green computing

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ITの効果的な利用を通じて環境保護を促進するとともに、コンピュータやその関連設備・装置のライフサイクル全般でIT利用による環境負荷の削減を目指す諸活動のこと。またはそのような理念。「グリーンIT」「グリーンICT」ともいう。

 ITの効果的な利用は、サプライチェーン効率化や在庫最適化による無駄な資源消費の減少、テレビ会議やテレワークによる移動の回避など、環境負荷の削減に貢献する面がある。その一方で、IT需要の膨張はサーバやクライアントPC、ネットワーク機器・回線の大量生産・投入に伴う廃棄物の増大を誘発し、消費電力の増加を招いている。

 広義のグリーンコンピューティングは、地球環境に対してITの利用が及ぼすプラスの影響とマイナスの影響を比較評価してその利用方法を考案したり、IT導入・実施に対する適切な意思決定を行ったりすることをいう。狭義には各種のIT機器の設計・製造から導入・使用、廃棄・再利用に至るまで、製品ライフサイクル全般において、環境負荷を削減していく取り組みをいう。2006年ごろからは、特にサーバやデータセンターにおける消費電力の削減がテーマとなることが増えてきている。

 IT分野における環境対策は、他分野同様に1980年代後半〜1990年代前半ごろを起点とする。一般に消費者・利用者の環境活動として、製品購入時に環境配慮型のものを選ぶグリーン調達/グリーン購入があるが、PCにおいても省エネ・省資源設計や有害物質の制限を一定の基準でクリアした「グリーンPC」が製造・販売されている。これらの製品は通常、国際機関や業界団体、企業独自の環境基準に適合していることを示す環境ラベルを付けている。

 国内で実施されている主なIT関連の環境ラベルには、「エコマーク」(特定有害物質の不使用など)、「国際エネルギースター」(消費電力)、「省エネラベル」(エネルギー効率)、「PCグリーンラベル」(リサイクルなど)、「エコリーフ環境ラベル」(製造・使用・廃棄)、「全国統一省エネラベル」(省エネ性能)がある。

 2006年になると、米国AMDなどがデータセンターの消費電力削減を目指す非営利組織「Green Grid」を結成、英国Computing誌が「グリーンコンピューティング」の名称でキャンペーンを始めるなど、サーバコンピューティング/データセンターにおける環境対策の気運が高まってきた。

 通常、データセンターに設置する機材を購入する場合、システムを冗長構成にしたり、キャパシティに余力を持たせたりするのが一般的だが、これも環境に優しいとはいえない。過剰な機材購入を極力控えるとともに、仮想化技術などを利用してサーバを集約して台数を削減することは、有効なグリーンコンピューティング手段とされる。

 運用フェイズでは消費電力低減と発熱対策がポイントとされ、ハードウェアやOSの省電力機能を使用することはもちろん、消費電力管理ソフトの導入やグリーン電力の購入などが推奨される。発熱対策としては、データセンター内やラック内のレイアウトを工夫して冷却効果を高める、冷却装置を最適化するといった地道な手段が挙げられる。また、データセンターを寒冷地に建設することで冷却に電力を使わないという施策を取る事業者もいる。

 広義のグリーンコンピューティングを推進するには、IT化による正負の効果それぞれを加味して、バランスの取れた施策を選ばなければならない。こうした顕在・潜在の効果や影響を比較計量して評価する手段に、ISO 14000シリーズに規定される「ライフサイクル・アセスメント」(LCA)がある。また、2006年には産業環境管理協会 LCA日本フォーラムと東京大学が、IT導入による環境負荷低減・環境効率を評価する統一基準として「情報通信技術(ICT)の環境効率評価ガイドライン」を公表している。

 なお、経済産業省の2008年度予算の概算要求には、IT関連機器の革新的な省エネ技術開発に取り組む「グリーンITプロジェクト」が盛り込まれている。

参考文献

▼『IT社会を環境で図る――グリーンIT』 松野秦也、近藤康之=編著/産業環境管理協会/2007年


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