IT戦略は情シスが立案するものです情シス部門の地位向上(2)(1/3 ページ)

前回「企業組織と情報システム部門――『話通じてる?』」では、企業組織における情報システム部門の戦略的な位置付けを確認しました。今回はさらに一歩踏み込み、IT戦略の立案と情報システム部門の関係を明らかにします。

» 2008年02月12日 12時00分 公開
[營田(つくた)茂生,@IT]

情シス部門が、企業全体を考えたIT戦略を立案できていない

 企業にとって、IT戦略は企業を成長させるための重要な要素です。前回「企業組織と情報システム部門――『話通じてる?』」からの繰り返しになりますが、現在の「企業」は、ITなしに企業を運営していくことが難しくなっています。ITをうまく使いこなす企業が、コストやスピードの面で優位に立てることは、さまざまな先進企業の実例が示すところです。

 ところで、企業の中にはさまざまな企画部門があります。中でも経営企画部門、営業企画部門、商品(製品や製造)企画部門は多くの企業に存在します。 それらの各企画部門は、多くの場合、企画対象の延長としてIT企画にまで関与しています。企業のシステム部門担当者と話をすると、

  「それは○●企画部門からの与件である」

という風に2いわれることが多々あります。

 われわれ(SIer)は、顧客企業内のバランス、トータルコスト、スピード感、(システムとしての)サステナビリティ(持続可能性)を勘案し、最も優れた方法を提案したいと考えています。コンペティションの場合であれば、他社を上回る提案をして勝ちたい。そうでない場合でも次につながる良い仕事をしたいと考えています。しかし、他の企画部門からの「与件=所与の条件」があって、変更不可ということでは、(われわれの目から見てですが)その企業にとってベストではない提案しかできないことになります。

 過去、システム部門から「○●部門と交渉してもよい」という許しをもらい、交渉したことが何度もあります。交渉さえできれば、与件を変えることもできるし、与件を変えることができなくても、与件の背景を理解でき、与件の範囲内でベストの提案を考えることができました。一方、「交渉などまかりならん」という場合もあります。より優れた方法がありながら提案さえできず、顧客に対して申し訳ない思いをしたことがあります。もちろん、さまざまな意味で筆者の力不足なのかもしれませんが。しかし、このような状況を一歩下がって冷静に眺めてみると、実は、

 「(顧客企業の)CIOや情報システム部門が、企業全体を考えたIT戦略を立案できていない」

ということが、問題ではないかと考えるようになりました。

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